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2014.06/10 カオス混合(4)

指導社員からロール作業はロール間距離を3mm未満で行え、と指導を受けた。混練するゴム量が少ないときにはその教えを守れたが、多く混練したいときには3mm以上のロール間距離にする必要があった。しかし、その様なときには面倒でもゴム量を減らせ、と指導された。

 

またニーダーも使うな、とも言われた。理由は現場作業ではバンバリーとロール混練が使われており、ニーダーを使っている工程は当時存在しなかったからである。現場で得られるデータとの対応をとるためには、同じ種類の混練機で実験を行うべきである、と習った。この指導は徹底しており、バンバリーでマスターバッチを混練したのだが、開発段階で用いる最も大きなバンバリーで実験を進めた。ゆえに余った大量のマスターバッチのゴムを捨てることになった。

 

ニーダーや二軸混練機の進歩はすばらしく、バンバリーやロール混練作業が過去の遺物になるような雰囲気があった。研究所では、バンバリーとロール混練プロセスをやめて便利なニーダーで処方開発を進める人もいた。しかし、指導社員はロール混練の重要な機能をよくご存じであった。今でもロール混練の機能を100%実現できる混練装置は存在しない。特許に公開され先日の講演会で説明したカオス混合装置でもロール混練の一部の機能を実現できていない。

 

ロール混練ではロールの回転数や混練物の量、ロール間距離、ナイフの返しなどに特有の機能が存在する。効率の悪いプロセスではあるが、ゴムに限らず高分子に混練が必要なときには一度試してみると良い。二軸混練機やニーダーで満足がゆかない混練物の性能がすばらしく良くなることがある。写真会社で環境テーマとして企画した樹脂とパルプの複合材料のテーマでは、バンバリーや石臼、二軸混練機など様々な混練装置で実験を行ったが、ロール混練プロセスで最も良好な混練物が得られた。

 

オープンロールの取り扱いについて教科書に詳しい説明は無い。現場の技術者の伝承が全てである。たかが二本のロールと侮ってはいけない。小平製作所のロールはすばらしい。どこが良いかといえば安全対策が十分に行われ初心者でも安全に取り扱うことができる。新入社員時代に使用したロールのブランドも小平製作所であった。

 

混練機でもブランドの威力は絶大で、KOBELCOの二軸混練機は値段が高い。しかし、値段の高いだけのことはあり、中古機10年物でも新品同様の機能を持っている。カオス混合装置の実用化ではこの中古機を使用したが、中古機の組み立ては小平製作所にお願いした。ちなみにゴム会社の研究所は小平市にあるが小平製作所は根津にある中小企業である。

 

カテゴリー : 連載 高分子

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