2023.01/15 非平衡現象(1)
材料関係の教科書に書かれている話は、大半が平衡時の現象についてである。この重要性について意識していない人がいる。もっとも意識していなくても大きな問題とならないので無視されているのかもしれない。
樹脂補強ゴムの開発を担当した時に、指導社員からバンバリーで混練した材料は1週間ほど放置してからロール混練するように言われた。少なくとも24時間は放置するようにとの注意も受けている。
またロール混練したゴムも同様であり、混練した後少なくとも24時間以上放置してから加硫ゴムサンプルを製造するよう指導された。周囲の研究者には、ニーダーで混練している人もいたが、混練してすぐに加硫ゴムを作成している人が多かった。
指導社員は、他の人が異なる条件で実験をやっていたとしても、加硫ゴムサンプルを製造するときには混練後24時間以上静置したゴムを使用する条件は必ず守ること、と言われた。
水溶液のような粘度の低い物質の場合に混合撹拌後平衡状態になるのは早い。しかし、ゴムのような高粘度物質の場合に混練後平衡状態に達するまでの時間は、配合にもよるが、早くても10時間はかかるとのこと。
すなわちゴムの緩和時間は温度などの因子にも影響を受けるので、平衡状態に達する時間を一定と考えることができない。それで少なくとも24時間以上静置してから次のプロセスにかける必要がある、というのが指導社員の説明だった。
指導社員はこの静置時間についてもデータを採取しており、早いサンプルで10時間以上の静置によりゴム物性のバラつきが一定になっていた。
24時間以上というのは最低限の時間であり、できれば無限に静置してからが望ましいがそれでは仕事にならないので好ましくは1週間以上と言われたのだそうだ。
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