2023.02/07 熱硬化性樹脂の再生
熱可塑性樹脂のリサイクルはコンパウンディング技術を理解していると難しくない。しかし、熱硬化性樹脂の再生は、サーマルリサイクルかケミカルリサイクルぐらいしか思いつかない人が多い。
サーマルリサイクルは二酸化炭素が出るので、国際標準の環境対策ではない。今や日本だけの呼び名になっている。
ケミカルリサイクルは、使用されなくなった石油コンビナートの利用が考えられる。しかし、コストが見合うかどうかが問題である。LCAの観点では環境対策とならない場合もあるので注意する必要がある。
PETのケミカルリサイクルが実用化されているが、採算性の問題を解決しつつの運営となっている。しかし何とか生き延びている。10年以上前、東洋製缶の子会社だった時に一度見学しているが、環境企業としてきれいな工場だった。
熱硬化性樹脂ではないが、加硫ゴムの再生は40年以上前タイヤ会社の重要テーマだった。二度のオイルショックだけではなく、廃タイヤの山が各地で放火される事件が起きたためである。
新聞にはシェアーの高かった会社名が連日載っていたので、当方が入社した時研究所の重要テーマだった。ケミカルリサイクルも検討されたが採算性の無いことがわかり、テーマが中断された。
活性炭プラントが作られ試作レベルの検討がなされており、これが有望と沸いていた時に、環境管理部の知恵者が、セメントキルンにタイヤを放り込んだ。これが大変よい成果となって現在に至っている。
すなわち、単なるサーマルリサイクルではなくセメントの性能向上にも役立つ、ということがデータとして出されたので、ホームランの成果となった。そして、活性炭試作プラントはその後セラミックフォームの触媒研究施設となった。
このように高分子は、3次元の網目が形成されるとリサイクルが困難になるが、加硫ゴム粉が道路の添加剤やテニスコートの添加剤として利用されている点に注目すると熱硬化性樹脂を機能性素材に化けさせるアイデアが生まれる。特許出願が可能なのでここに書きにくいがーーー。
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