2014.06/26 カオス混合(15)
朝のミーティングでカオス混合装置の話をしたが、マネージャーからはコンパウンドをどこで作らせるのか、という現実的な話になった。このテーマでは、PPSと6ナイロン・カーボン系のコンパウンドを外部コンパウンドメーカーAから購入して押出成形技術を創り上げることがミッションだった。
製品化まで1年という期間のテーマ、すなわち製品化ステージに入っており、新たに混練技術を内製化する、という変更ができない状態だった。しかし、PPSと6ナイロンを相溶させる以外にこのテーマを成功させる道は無い。結局カオス混合技術を外部コンパウンドメーカーAで実現する以外に道は無かった。
そこで、混練プロセスの見直しを行いたい、という申し出を行ったところコンパウンドメーカーAは非協力的だった。説得するために納入されているコンパウンドの混練方法について少し見解を述べたら、素人は黙っていろ、と同等の厳しい言葉を言われた。
伸張流動が注目されていた時代である。そんな時代に剪断流動を重視した混練を提案しても否定されるのは分かっていた。さらにフローリー・ハギンズ理論に反した結果でこれを信じて1年以内に生産プロセスを作れ、といっても無理な話であることは当方も理解していた。しかし、PPSと6ナイロンを相溶させパーコレーション転移のシミュレーションから導かれた最適なカーボンクラスターを実現するためには、二軸混練機におけるスクリューセグメントの設計から見直したかった。
いくら説明してもダメだった。コンパウンドメーカーAの技術営業の頭が硬いのではなく当方を信じていない、ということが分かった。コンパウンドメーカーAの技術者も自信があるのであろう。当方が担当している押出技術さえ完成すればこのテーマは成功する、とまで言ってきた。早い話が押出成形技術の未完成はコンパウンド技術ではなく当方の責任、と言っているようなものだ。
当方はカーボンクラスターの説明からカオス混合の可能性まで一通り情報提供したが、ムダだった。質問すら無かった。信用が無い、ということはコミュニケーションもおかしくする。せっかく面白いデータが出て、それをすぐに業務へ反映させようとしたが、外部の協力が得られず頓挫した。コンパウンドメーカーAへの対応はマネージャーに任せ、内製化の準備を始めた。
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