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2014.07/02 故田口先生の教え

タグチメソッドで有名な田口先生は個性的な先生だった。写真会社がタグチメソッドを導入するに当たり、田口先生をコンサルタントに招き、田口先生から直接学ぶ体制が取られた。当方も帯電防止技術やフィルム表面処理技術をテーマに直接御指導していただいた。

 

田口先生は基本機能の研究は認めたが、それ以外の研究について認めなかった。また、「タグチメソッド」を「田口メソッド」と書いていると、この書類は大きな間違いをしている、と指摘された。タグチメソッドはアメリカからの輸入品なのでカタカナで書く必要があった。

 

田口先生は、システムと基本機能を明確にせよ、とよく言われた。そして基本機能のロバストを上げることが技術開発であると。感度よりもSN比を重視するのがお約束であり、感度を最大にするような条件を選択すると叱られた。技術開発ではロバストが一番大切である、とSN比重視の技術開発と設計段階からSN比を評価することの重要性が田口先生の口癖であった。

 

帯電防止技術では、パーコレーション転移を田口先生にご理解頂くのが難しかった。ロバストの話をすれば良かったのだが、シミュレーション結果で話をしたので雷が落ちた。田口哲学を十分理解していないときだったので、議論は平行線になった。議論の過程で科学的現象ではなく、技術の話に絞れば良いことに気がつき、基本機能として低周波数領域におけるインピーダンスの絶対値を提案したところ褒めて頂いた。

 

基本機能としてインピーダンスの絶対値のロバストを高めれば帯電防止層の接着力も同時に改善されているはずだ、と言われた。最初は力学現象と電気的な現象が同時に解決つくのか不安であったが、接着力の評価法を工夫し、インピーダンスの絶対値を基本機能にしてもその値に反映できるようにした。すなわち力学特性も電気特性も同時に計測できるようにしたのである。

 

科学的に開発を進めているときにこのような物性評価の考察を行わない。あくまでも科学的な情報がどこまで精密に得られるのか考える。技術では機能のロバストを評価するために評価技術が重要なのだ。

 

 

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