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2014.07/05 シリカゾル(2)

シリカゾルを高分子に均一に分散するために表面処理が必要になる。コロイド状態でラテックスと混合する時にも表面処理が重要だが、それが無くとも見かけ上うまく分散できたような状態となる。表面処理を行わず混練でシリカゾルを分散した場合には、完全に単粒子で分散することは難しい。これは微粒子の混練を行ったことのある人は直感的に理解できるようだ。

 

コロイド状態の分散では、ラテックスあるいは水溶性高分子を水に分散した溶液を用いるが、両者を混合したときに沈殿ができるかどうかで、分散状態の判断は可能である。ところが沈殿ができない状態だからうまく分散できたのかというと、そうではない。単膜を作成し、電子顕微鏡観察を注意深く行うと数100nm以上の凝集体が見つかる。

 

混合時にpHを揃えてもシリカ粒子のゼータ電位が乱れるために凝集体が生成する。ホモジナイザーを用いても凝集体の数を少なくする程度の効果である。数100nm程度の凝集体ができると破壊強度に影響を及ぼす。すなわち単膜の引張強度の低下を引き起こす。

 

しかしシリカ粒子による補強効果で弾性率が上がるため、それに気がつかないことがある。シリカゾルの量を増やして引張強度あるいは弾性率の増加率のデータをとってみると気がつくことがある。横軸に添加率、縦軸に引張強度あるいは弾性率のグラフを書くと、後者はシリカゾルの増加とともに下に凸あるいは上に凸の曲線を描く。いわゆるパーコレーション転移のグラフが得られる。

 

しかし引張強度は弾性率のようなきれいな曲線にならないときが多い。わずかなシリカ粒子の凝集体が破壊の起点になり、期待される強度を低下させているのだ。1990年までこのことを明確に書いた論文を見つけることができなかった。ところがシリカゾルに高分子を吸着させてミセルとして用いたラテックス合成を行い、できた単膜の力学物性を評価したところ驚くような効果が得られた。K1cを評価してみても3割ほど増加していた。

 

カテゴリー : 連載 高分子

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