活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2014.07/11 混練技術(3)

二軸混練機の世界的なブランドは、おそらくコペリオンだろう。中国の南京にあるコペリオンの工場を見学したが、さすが世界的メーカーと思える工場だったが、神戸製鋼所ほどの感動は無かった。

 

KOBELCOは高性能高品質の信頼のブランドである。セラミックスのHIP装置からタイヤに使われている大型プレス装置、そして二軸混練機までこの会社で作られる製品は、デザインはともかく性能は世界一だと思う。特にPRする義理は無いが、CIP装置始め二軸混練機までサラリーマン時代にこのブランドの装置を使って成果を出す事ができた当方にとっては、信頼のブランドである。但し高価である。

 

中間転写ベルトの開発ではPPSと6ナイロンを相溶させる混練技術が必要であった。最初外部のコンパウンドメーカーにアイデアを実行してもらおうと思ったら馬鹿にされた。お客さんを馬鹿にする失礼な会社だけでなく新しい技術の提案を受け入れないので将来の見込み無しと判断して黙って自前開発を行い、高性能コンパウンドを生産できる工場を立ち上げた。そして外部から性能の悪いコンパウンドを購入するのを辞めた。

 

混練技術の実情を見ると、昨日まで塗布技術をやっていた人間が打ち合わせに出てきて混練技術について講釈をしだしたら、その道30年の技術者はカチンときても仕方がないことだろうと今から思えば同情できる。当方はお客さんという思いがあったので遠慮無く技術アイデアを述べさせてもらったが、ことごとく否定され挙げ句の果て素人は黙っとれ、となった。

 

その道30年の技術者は、1980年以降の急激に技術が進歩した最前線で戦ってきたのである。もう少し当方がその点をおもんばかって謙虚にお願いをすれば、土日のサービス業務や徹夜する苦労などしなくても済んだ。自業自得であった。

 

ただ、この苦労も今は楽しい思い出となっている。その思い出の中で、最初に倉庫からKOBELCOマークの小型混練機を見つけ、その中古機と同じシリーズで大型のKTXシリーズを中古市場から部下が探し出してきた感動は、今でも忘れない。豊川には小型のKTX、東京に大型のKTXを置き、黙々と実験を行った。KOBELCO製品を2台も短期にお金をそれほどかけず入手できたのは大変幸福であった。

 

カテゴリー : 連載 高分子

pagetop