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2014.07/18 セラミックスの製造プロセス(2)

瀬戸物市には規格外の商品が山のように売られていた。瀬戸物は重要な輸出品であり、この規格外の商品の売り上げが日本のセラミックス産業を支えている、と親から教えられた。子供の頃この説明を素直に納得したが、米を食べるのはアジアが主体であり、お茶碗が欧米にたくさん輸出されていると思えない。瀬戸物市には瀬戸物のフランス人形や高級そうな洋風の水差しや花瓶なども売られていたので、親はそれらを説明していたのだろう。

 

しかし、当時の我が家はそのような洋風の商品を買わずお茶碗探しがもっぱらなイベントであった。瀬戸物市の翌日は食卓がリニューアルされる。家族おそろいの新しいお茶碗やお皿で皆食卓を囲むのは、少し贅沢な気分だった。古いお茶碗やお皿は保存され、食卓に並んでいるものが割れるとそれらで補充された。昔の瀬戸物は割れやすかった、という印象がある。ところが100円ショップの食器は割れる前に欠ける。

 

お茶碗の割れた思い出はあっても欠けた思い出は無い。すなわち100円ショップのお茶碗は絵柄がきれいに揃っていても欠けやすい。これはお茶碗を成形するプロセスの違いが現れている。100円ショップのお茶碗の見かけは瀬戸物市のお茶碗よりも良いが、力学物性は低下している、と思われる。ノリタケの森で買ってきた食器とぶつかると、必ず100円ショップのお茶碗が欠ける。ノリタケブランドのお皿は規格外品でも丈夫である。

 

ノリタケブランドの製品でも一部は射出成形で製造されていると聞いた。ノリタケの森では職人が手作りで製品を製造する様子を見せているが、射出成型による製品もあるという。しかしノリタケブランドのついた食器で欠けやすい食器を見たことが無い。落としてもフローリングの床であれば割れにくい丈夫な製品で、さすがにノリタケブランドと感心したりするが、おそらく製造プロセスだけでなく原材料管理も異なるのであろう。

 

ノリタケブランドの製品の優秀さは、瀬戸物市の規格外品や100円ショップの商品とは別次元である。それでは、これらの成形プロセスの違いがどこに現れるのか。おそらく成形された時のグリーン密度の均一性の違いが欠けやすさにつながっていると推定している。例えばノリタケブランドの製品の焼成前のグリーン密度は、その断面を肉眼で見ても分かるぐらいに緻密で均一である。

 

カテゴリー : 一般 連載 電気/電子材料

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