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2014.08/03 技術者の企画提案力(8)

新入社員として配属された研究所で、新しいテーマを考えることの重要性を教えられた。そして、実験とは企画した内容の確認である、とも言われた。実験室では当方より2-3歳年上の若い技術者による「研究所と言っても看板だけだ」という不満がささやかれていた。

 

世界的に有名な元東京大学のN先生が東大へ転職されたのはその1年後であった。かつては、大学の研究所よりもアカデミックな雰囲気だった、と語る先輩社員もいた。研究所ブームで設立された基礎研究所が新しいスタイルのマネジメントに変わる過渡期であった。

 

ゴム会社の基礎研究所にはBR01という成功体験があった。高純度SiCの企画が認められたのは、世間でセラミックスフィーバーの嵐が吹き荒れていたこととこの成功体験によるところが大きい。

 

半導体用高純度SiCの企画は、当初会社の50周年記念論文応募のために準備された。残念ながら審査には落ちたが、無機材質研究所留学というチャンスが訪れた。このあたりの経緯は既に述べたが、波瀾万丈の人生を経験し、30年経った今もこの時企画された事業が継続されている。

 

看板だけの研究所と揶揄されたが、担当者さえその気になればアカデミアよりも恵まれた環境で研究ができるのはゴム会社の良いところであった。高純度SiCの合成プラントを立ち上げながら、SiCの反応速度論的解析を行った。この研究を行うために2000万円かけて超高温度熱天秤を開発した。また専用の電子顕微鏡も買い込んだ。

 

開発を行いながら同時並行で研究を行っていた。なぜこのようなことになったのか。それは開発過程で新しい自然現象が次々と見つかったからだ。セラミックスフィーバーは数年続いたが、この時参入した企業で十分な研究を行えなかったところはおそらく撤退しているのではないだろうか。

カテゴリー : 一般

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