2014.08/09 技術者の企画提案力(13)
昨日は企画書に盛り込む内容について書いてみたが、おおよそ肉体労働である。企画を頭脳労働と考えている人がいるかもしれないが、今の時代における企画とは肉体労働なのだ。
特許調査の経験のある方ならばこの肉体労働の意味が分かるかもしれない。新事業企画を行うときに膨大な特許の整理という作業を避けて通れない。高純度SiCの企画を上司の指導により2ケ月行ったときに、特許調査以外は1日で完了した。無機材質研究所留学中に突然決まった社長へのプレゼンテーションで、資料の下書き準備までに2ケ月しか時間がなく、その2ケ月間に行った作業の大半が特許調査だった。
ミカン箱10箱以上の特許が会社の特許部から筑波の借家に送られてきた。10箱まで数えていたが、後は記憶にない。部屋の中は布団を敷く場所も無くなった。昼間は研究所へ出勤し、夜特許調査を行う日々が2ケ月続いた。膨大な数の特許を調査するのは初めての経験であり、半月ほどはマジメに全部読んでいたが、次第にコツが分かって手抜きができるようになった。
上司は丁寧に調査してください、と言っていたが、大切なのはクレームと実施例であり、従来技術は、どれも似たようなことが書かれている。コツが分かるとスピードが上がり、特許の整理は1ケ月ほどで終わった。
当時もっていたパソコンはZ80Kと16BITのPC9801で、データベース用のソフトウェアーは、C-ISAMを使っていた。Lattice-Cで作った自前のデータベースである。ただこれはあまり意味のない作業だった。結局詳細を知りたいときには原紙を見るので、特許の膨大なコピーをアクセスしやすいように附箋をつけファイリングするだけで十分だった。
兎に角特許を整理し、プレゼンの下書きを作り終えたときには、体重が5kgほど減っていた。
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