2014.08/15 高分子の難燃化(1)
どのような高分子でも、高温度の空気中で燃える。これを科学的に示すには温度を変えて極限酸素指数(LOI)を測定すれば良い。ちなみに空気をLOIで示すと21である。すなわちLOIとは酸素濃度を指数化したパラメーターで、空気には21%の酸素が含まれているからLOIは21となる。
LOIが21以上の高分子材料は空気中では燃焼を続けることができないので自己消火性、すなわち自然と火が消える。21以下の材料では、空気中で着火した場合に燃え続ける。このLOIを各温度雰囲気で測定すると、室温で21以上の材料であっても、ある温度以上で21以下になる点が存在する。
すなわち高分子材料は皆500℃以上にも達する実火災で必ず燃えることがこの実験で分かってくる。これが分かってくると、高分子材料の不燃化などという技術テーマを企画したりしない。せいぜい難燃化である。材料に火がついても空気中で燃えにくければ、あるいは自己消火性を示せば、少なくとも火源とはならない。多くの電化製品や事務機、電子機器はこのような観点で設計されている。
高分子材料の難燃化に関する研究は1960年代から1980年代にかけて活発に行われた。しかし科学的な研究の結論は未だに出ていない。技術的な見通しは、技術者によりそれぞれのノウハウとしてまとまっている。科学と技術を厳密に意識しなければいけない分野の一つとして、この高分子の難燃化という分野がある。
科学的な研究が最も進んだ1980年前後には様々な評価技術が登場している。LOIもこの頃登場した。UL試験も同様の時期である。コーンカロリメーターが実験装置として販売されたのは1980年代末である。
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