2014.08/16 高分子の難燃化(2)
一部の高分子について燃焼挙動の科学的解析が進み、難燃剤の機能について明らかになっている。しかし大半の高分子材料と難燃剤については未解明である。明らかになっている高分子材料についても実火災でその様に熱分解している、という証明はできていない。
高分子の難燃化というテーマは科学的に研究を進めにくい分野である。燃焼は酸化が激しくなった現象として説明されるが、同時に高分子の熱分解も起きている。溶融も生じる。ゆえに実火災に有効な科学的な高分子難燃化手法という万能手法は存在しない。実火災に対しては、各種難燃化規格に通過するように難燃化「技術」で対応することになる。
高分子の難燃化手法には技術的に二つの戦略が存在する。1.溶融型と2.炭化型である。1は、高分子材料に着火したとたんに溶融を促進し、火を消す、という手法である。2は、燃焼面に耐熱性の高い炭化層を形成し火を消す方法である。
常温のLOIで見たときに、1の戦略では、21以下でも自己消火性を示す材料を設計可能だが、2では必ずLOIを21以上になるように設計しなければいけない。2についてはイントメッセント系の難燃剤が有効と言われている。
UL規格で見たときに、溶融物の存在が許されるときには、1の戦略もとれるが、許されないときには、2の戦略だけになる。すなわち、この戦略は規格と達成したいレベルで選択することになる。UL94-5Vレベルの高分子材料の設計を目指す場合には、効率的に炭化層を形成する材料設計が重要になる。
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