2023.06/12 高分子材料とデータサイエンス
高分子材料の物性は金属材料やセラミックスよりもばらつきが大きい。セラミックスの力学物性は高分子材料と同じ程度にばらつくこともあるが、電気電子物性についてセラミックスは極めて安定している。
有機ELが実用化されたが、無機材料のLEDに比較してその寿命は短い。しかし、電流駆動という特徴と生産性の高さから有機ELがディスプレー材料として選ばれている。
高分子材料を機能性材料として実用化する時にはその1次構造を設計する必要がある。しかし、成形されたときに非晶質相が多く、その構造の特性ばらつきが機能性に少なからず影響を与える。
高分子の非晶質構造に存在する自由体積あるいは部分自由体積と呼ばれる構造を製造プロセスで制御することが難しい。
あるポリオレフィン樹脂をバンバリータイプの小型混練機でいろいろと条件を変えて混練し、その量のばらつき変化を調べたことがあるが3倍近くばらついたのでびっくりした。
自由体積の量が変化すれば、密度が大きく影響を受け変化する。密度の影響を受ける機能性は、その結果大きくばらつくことになる。
ゆえに高分子材料の物性についてインターネットから収集されたデータで物性予測を行おうとする時に問題となるのは、プロセス情報の公開が少ない点である。
良く知られているように、高分子材料の物性は成形体が製造されたプロセスに大きく依存する。金属やセラミックスも同様であるが、高分子材料の場合にコンパウンディングの履歴も引きずるので大変である。マテリアルズインフォマティクスを行う時にこの点に注意する必要がある。
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