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2023.07/21 研究開発のゴール

研究開発のゴール設定が難しい時代になった。ソフトウェアー業界では早くからアジャイル開発が行われるようになり、研究開発のゴールの陳腐化しない工夫がなされた。


セラミックスフィーバーの時にゴム会社の研究開発本部リーダーに就任したU本部長は、ソフトウェアー業界が導入する前からアジャイル開発を指向していた。


「まず、モノ持ってこい」と研究企画会議で管理職に命じている。「モノができないから研究を行う」と答えた管理職には、「女学生より甘い」と、今ならばパワハラや差別発言など非難されるような厳しい言葉がかけられた。


もっとも研究所の体質も新入社員に始末書を書かせて平気な係長や課長が管理職を務めていたような部門であり、さらに事業でも起業しようものなら周囲から袋叩きにあうような、研究だけやっていたいという甘い集団だった。


18歳からドラッカーを愛読書としていた当方には、その風土にびっくりしている。タイヤ事業部門の研究開発部隊は別組織となっており、同期の技術系社員の大半はそこに配属され、この甘い研究組織に配属されたのは博士課程出身者の1名と修士卒の当方含めた2名だけだった。


タイヤ事業部門に配属された同期からは、事業機会を逃がさないために残業の多さも含め厳しい職場環境の、ある意味幸せな愚痴が漏れていた。企業の技術開発にあこがれていた当方は大学よりもアカデミックな風土になじめず、苦労していた。


事業を目標としていない研究テーマにその意味を感じていなかったので、U本部長が就任された時には、研究所の風土が変わることに期待して無機材質研究所からこの研究所に戻っている。


さて、ドラッカーは担当した業務について「常にそれが事業の何になるのか問え」と言っていた。組織の中で働くときに担当した職務から事業が見えないケースは、組織が大きくなればなるほど個人の役割は抽象的になるので多くなる。


それゆえ、事業の何になるのか問う個人の努力が重要となってくる。方針管理は1970年代にQCが定着した頃から行われているが、個人の業務のゴール管理は、バブル崩壊後からではないか。


研究所においては、研究所のミッションさえ明確にしていないところも存在するらしい。いまや基礎研究でも個人の研究テーマのゴールを明確化すべき時代である。


しかし、DXの進展により時代の流れが40年前と比較できないほど早くなった。そのような時代に数年後のゴールなど設定できない。1年後でさえ難しい、と思っている。


たとえ難しくてもとりあえずのゴール設定をしなければ効率的な研究開発などできないので、どうしたらよいのか悩まれている方は弊社へご相談ください。

カテゴリー : 一般

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