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2014.09/16 技術者教育(2)

ゴム会社では上司から学位取得を勧められたり、海外留学の推薦をされたり、と技術者として育成されている実感を味わいながら仕事ができた。受講費について会社の補助が出る通信教育にも、技術者向けのメニューが多数用意され、人事からモニター推薦を受けたりしていた。

 

創業者の伝記を読むと人材育成を重視した事業家であると書かれているので、技術者教育に力を入れていたのは創業時からの伝統だろう。12年間勤務して、仕事をした実感よりも技術者として育成されていた思い出が多い。

 

ゆえにFDをいたずらされて転職した時も、そして今でもゴム会社には申し訳なかった、という気持ちがある。高純度SiCの事業化で6年間死の谷を一人で歩き住友金属工業とのJVとして起業し、それが現在でも続いているが、特許報償を請求したこともない。ブルーレイの裁判で高額な特許報償が支払われてもそれを批判的に眺めていた。

 

ゴム会社では諸先輩から十分なご指導を受け、そのおかげで専門外だった転職先の仕事でありながら技術者として成果を出すことができた。写真会社で開発を行っていたときのスタイルは、ゴム会社と変わらなかった。ただ立場が管理職だったのでゴム会社の管理職がそうであったように、部下の育成に力を入れた。

 

メーカーの技術者教育はどうあるべきか、と尋ねられたなら、迷わずゴム会社の風土を紹介したい。一時期その風土もおかしくなったが、現在は昔同様の風土に戻っているという。

 

中国出張で某大学を訪問し、偶然そのゴム会社の留学中の社員と名刺交換した時には、企業買収が成功し新たな成長へチャレンジし始めたゴム会社の鼓動を感じた。五年前の話である。

 

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