2014.09/18 高分子の難燃化技術(2)
ホスファゼン変性軟質ポリウレタンフォームは実用化されなかったのですぐに論文として発表することができた。上司が「高分子の崩壊と安定化研究会」の委員だったので、研究会のネタとして採用されたからだ。
論文は英文で投稿したが、今はやりのコピペを用いていない。当時ワープロなど無かったので、直接タイプライターで書かねばならなかった。学生時代に修士論文を書くために買ったタイプライターが役に立った。
タイプライターは、片手打ちである。片手に辞書を持ち英文を打ち込んでゆく。五月雨の音よりも遅く、独身寮の廊下に何の音かわからないぐらいの音色で響いていたそうである。
ホウ酸エステルとリン酸エステル併用システムは実用化されたので、その外部発表はすぐにできなかった。ただ、5人目の上司が学位取得を勧めてくれて、そこに掲載するために社内調整してくださった。
開発してから4年後にようやく論文になったが、こちらは日本語である。日本語ワープロ一太郎を用いて書いた。この研究は日本化学会の年会でも発表したが評判がよく、講演依頼が来るようになった。
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