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2014.09/27 高分子の難燃化技術(11)

ホウ酸エステルを用いたリン酸ユニットの固定化というアイデアは大成功であった。当時手元にあった各種リン酸エステル系難燃剤と組み合わせ、50種類ほどの処方を組んで実験を行い、多変量解析を行ったところ、ホウ素原子の効果が著しく高いという結果が出た。

 

ホウ酸エステルだけをウレタンフォームに添加して実験してもLOIを高められる上限は19で、無添加の場合の18.5に対して0.5ポイント程度しか高めることができない。しかし、リン酸エステルと組み合わせた時には、25程度まで高められる効果がでた。

 

実験計画法で確認したところ、ホウ酸エステルとリン酸エステルには交互効果が存在した。すなわち燃焼時にホウ酸エステルとリン酸エステルの間に何らかの相互作用が存在してホウ素原子の難燃効果を高めているという結果が統計的に得られた。

 

燃焼後の残渣の化学分析からボロンフォスフェートが生成していることが分かった。どの程度の温度でこの化合物が生成しているのか確認するためにTGAで調べたところ、300℃前後には、ボロンフォスフェートが生成している。

 

TGAの微分曲線からこの生成したボロンフォスフェートの酸素遮断効果と炭化促進効果で、ポリウレタンの熱分解速度のピークが100℃もずれることまでデータで得られている。すなわち燃焼時の熱でオルソリン酸が揮発するのをとめてやるだけで、ホスファゼン並みの難燃効果が得られたのである。

 

始末書を書いたことで生まれたこの技術は、高分子の難燃化をリン系の化合物で行う時の重要なヒントを示しており、今このヒントのおかげで新たな難燃化技術が生まれようとしている。人生は本当に長い。不幸な出来事のその時は、目の前が一瞬真っ暗になるが、誠実に真摯に努力を続ければ不幸な出来事も幸運な思い出に変わる。すべてがそうであるとも思わないが、万事塞翁が馬という名言は本当だ。

 

昨今利益が上がっている時のリストラが盛んだが、リストラされる方はそれをチャンスととらえ、積極的に攻めの姿勢で受け止めることはできないか。リストラするほうも湿っぽいリストラではなく、明るく送り出すリストラがあっても良い。未来技術について www.miragiken.com   では、明るいリケジョで物語を進行しているが、リストラチームによる物語も考えたりした。しかし誤解を受けるといけないのでリケジョの明るい話で未来技術を描いています。

カテゴリー : 一般 高分子

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