2014.11/09 文部科学省有識者会議のL型大学とG型大学
文部科学省の有識者会議で提案されたL型大学とG型大学というキーワードをめぐり、WEBでもいろいろな意見が展開されている。提案内容が、一流大学以外の大学は、アカデミックな教育をやめ、職業訓練に専念すべきという刺激的なものだからである。
すなわち、いまの大学をグローバル人材を育てる「G(グローバル)型大学」と、職業訓練校的な教育をほどこす「L(ローカル)型大 学」とに分けて、教育しようというわけだ。具体的には、職業訓練大学の経営学部や経済学部では、難しい経済理論を教えるのではなく、会計の基本知識や弥生会計といった会計ソフトの使い方を学ばせることを想定しているようだ。
文部科学省の有識者会議のメンバーにどのような人が集まっているのか知らないが、大学教育の目的を理解していない。大学そのものを偏差値で役割分担しても、日本の教育の問題解決ができないことを理解していない。
例えば、理系の大学には工学部と理学部があったが、それを無くした大学があり、それで大学改革はうまくいったか、といえばNOである。あるいは、私立大学にはすでにL型大学に近い教育を行っている大学もあるが、その大学の偏差値が上がった、あるいは学生数が増えたかどうか、などを調べてみるとこれも思惑通りではない。
すなわち、いずれも時代のニーズを満たしているような結果になっていないので改革は成功していない。このG型とL型に分ける案も失敗するどころか、日本の大学の幾つかを廃業に追い込むことになる。なぜならL型大学はすでに専門学校が存在し、L型大学のカリキュラムを希望する生徒は専門学校に進学しているからだ。おそらくL型大学には人が集まらず、その結果大学は倒産することになる。
今大学教育の一番の問題は、かつて理学部と工学部を設置した理想を実現できていないことにある。すなわち理学部では科学を追究し、工学部では技術(工学)を追究する、という理想である。そもそも科学と技術に対する理解、すなわち科学は人類が初めて獲得した技術を標準化できる哲学であることを分かっていないで大学運営している事に問題がある。
理系の科目に限らず文系でも科学が浸透し、経済学の内容も大きく変貌した。しかし経済学の分野には、会計という技術に相当するような分野もある。大学教育の改革で大切なのは、科学と技術の両者をアカデミアで扱う事なのだ。
それができていないために大学教育は産業構造の変化に遅れてしまっているのだ。そもそも大学教育は準義務教育化した高校とはその教育目的が大きく異なるはずである。www.miragiken.com ではこのあたりの提案も行ってゆく予定です。
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