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2014.11/19 問題解決プロセスとしてのタグチメソッド(3)

商品の品質が安定している、とはユーザーの使用環境で商品の機能が安定に発揮されている場合を言う。そのような商品の開発の現場で、タグチメソッドという問題解決プロセスは一度体得すると、すぐに商品開発をすることができるので便利である。ただし、それは基本機能や、誤差因子、制御因子を理解している場合である。

 

誤差因子や制御因子は現場を調査すればわかるが、基本機能は研究活動が必要で、故田口先生もそれを推奨していた。また、商品の基本機能の考え方の難しさは、品質工学会の初期の会報において竹トンボの事例を用いて説明している。一読すると面白い記事であることが分かる。故田口先生は技術者の責任と述べただけでこの世を去り、この竹トンボの正解は示されていない。

 

実はタグチメソッドで難しいところは基本機能として何を取り上げるかという点である。ここを乗り越えることができればタグチメソッドは体育会系のノリの技術開発を可能とする便利な方法である。

 

竹トンボの記事を読んで頂くと分かるが、基本機能が一つの真理として存在しているのではなく、それを技術者の責任としている点でタグチメソッドはヒューマンプロセスの問題解決法だと思う。

 

1990年頃初めて故田口先生のご講演を拝聴した時に、会場から基本機能に関するしたり顔の質問がでた。質問は基本機能を直接扱った内容ではなく、最適条件で製造したところうまく最適化されていなかった、という内容だった。田口先生は、その質問に対し一言「基本機能が間違っている」と切り捨てられた。鮮やかだった。

 

ところが質問者はひるまず「それでは何を測定すれば良いのか」と半ば腹立ち気味に追加質問していたが、それに対しても、「それは技術者であるあなたの責任だ」と、ばっさり一刀両断だった。

 

当初サクラかと思っていたが、質問者の顔は赤くなり、明らかに腹を立てている様子が伝わってきた。故田口先生のコンサルティングでは、基本機能を技術者の責任で考えることが前提になっている。そしてそれはコーチングで進められた。

 

ただ、このやりとりでタグチメソッドの重要な点をすぐに理解できたので、優れた質疑応答と思った。長年タグチメソッドを使用してきたが、基本機能さえ間違えなければ、最適条件をうまく選択することが可能な便利な方法と思っている。

 

注意点として、どのような基本機能を用いるかは技術者のノウハウであり、この点を明確に書いてある参考書を見たことが無い。直接田口先生から御指導頂いたが、頑固に見えるご指導だが、奥に柔軟な姿勢を持っておられた。基本機能は一つでは無いのである。

 

カテゴリー : 一般 連載

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