2015.02/06 混練プロセス(32)バンバリーによる高次構造制御
PPS/6ナイロン/カーボンの系について、バンバリーをうまく運転すると、6ナイロン相にだけカーボンが分散し、PPS相にまったくカーボンが分散していないコンパウンドを作り出すことができる。この運転方法を見つければ、二軸混練機でも同様の高次構造のコンパウンドを作り出すことが可能である。
外部から購入していたコンパウンドの高次構造はカーボンがPPS相に分散し、6ナイロン相にはわずかに取り込まれているだけだった。見学したプロセスから作られた当たり前の構造だった。押出工程ではナイロン相もカーボン相も動くので、出来上がったベルトの周方向の抵抗ばらつきを安定化させることができない。
もしカーボンをナイロン相に閉じ込めることができたなら、凝集カーボンを分散している構造を作ることができ、抵抗の安定化を実現できる。またナイロン相中でパーコレーション転移を制御することも可能で、例えばベルトの引き取り速度を変えればナイロン相に力をかけることができ、ナイロン相を10の3条から10の5乗程度まで制御できる可能性が出てくる。
これらはバンバリーで製造されたコンパウンドでその仮説が確認された。残る課題は二軸混練機で同様の構造を作り出すだけである。ただバンバリーでは高次構造サイズがミクロンレベルであり、これを二軸混練機で小さくできるかどうかが不安だった。
そこでもう一つのアイデアであるPPSにナイロン相を相溶させる試みもバンバリーで検討したが、剪断力を上げてもできなかった。カオス混合装置を開発する必要があった。ウトラッキーのアイデアを改良して生産性の高い装置で急速な伸長流動と剪断流動を生み出す方法をすでにアイデアとしてまとめていた。
カテゴリー : 高分子
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