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2015.03/10 イノベーション(29)

イノベーション=技術革新という訳語がいつ日本で一般化したのか知らないが、少なくともバブルがはじけてから10年間はこの訳語が一般的だったような気がする。21世紀になり、失われた10年などという言葉が流行して「ハイコンセプトの時代」がやってきた。

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するとイノベーション=技術革新に対して異議を唱える日本人が増えてきた。さらに欧米ではイノベーションについてシュンペーターが1910年頃に「経済の革新」をイノベーションという言葉で表現していたのだから今更おかしい、という人まで現れてイノベーションの言葉の意味が技術革新では無い、と論評することが流行にまでなった。

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「化学と工業」の2014年9月号にまで、このことが載るようになった。言葉というのはおもしろいものだ。それを論じているだけで深く考えているような錯覚に陥る。大切なのはその意味するところの実行にあるのだが、言葉の議論に終始し、具体的な実行方法まで思いが至らないという間違いをやってしまう。

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ちなみに日本化学会の雑誌のタイトルでは「大学研究者にイノベーションはできるのか?」と実行ではなく疑問符になっていた。イノベーションはドラッカーも1970年頃の著作で指摘したように「断絶」すなわち非連続的発展であり、誰かにできて誰かにできない、という議論は無意味である。

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「まず、やる、イノベーション」という精神で取り組めば誰でもそのチャンスは訪れると思っている。その思いを込めてマネベーションなる造語で8個の戦略を説明した。犬も歩けば棒にあたる、という言葉があるように、日々イノベーションを心がけておればどこかで創造的破壊を引き起こすことが可能と思っている。

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それが起きた結果は不連続かもしれないが、そのきっかけまでは連続した知性の歴史があるはずだ。その歴史をマネベーションで少しずつ磨き上げていったときに、技術では突然不連続の発明が生まれる。技術だけでなくファッションや思想の歴史を見ればそのような不連続性を歴史の中に見つけることができる。変革を志す誰でもそのチャンスが存在する。

カテゴリー : 一般

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