2023.09/26 データサイエンスのスキル(4)
2010年から始まった第3次AIブームでマテリアルズインフォマティクスが定着したが、1990年から日本で普及が始まったタグチメソッドや、それより前から存在した統計手法との関係について誤解されているか、あるいは理解できていない技術者は多い。
ゴム会社の研究所の技術者のように科学こそ研究開発の唯一の方法と信じている化石のような技術者にとって、これはどうでもよいことかもしれない。
第3の波が始まった50年近く前の冗談のような信じられない実話を書くと、ゴム会社では新入社員に統計手法のスキルを身に着けさせようと力を入れていたが、それでも研究所の技術者の中には、「人事部に従って真面目に統計を学ぶア〇」と言っていた人が多かった。
当方は、品質管理に重要な統計手法としてだけでなく、問題解決法として公開されていた新QC7つ道具の有効性に気づき、愛用していた。ゆえに研究所では大いに馬鹿にされて、実験計画法で求めた最適条件が外れたときには、周囲から大声でからかわれた。
研究所はこのような調子だったが、タイヤ開発部門は人事部方針に従い、すべての技術者が真面目に統計手法の活用に取り組んでいた。ゆえに設計段階から高品質のタイヤを創り出し世界一になれたのだと思う。
しかし、研究所では当方が転職した頃でも科学の方法こそ唯一の技術開発方法とされ、タイヤ開発部門はKKD開発部隊と軽蔑していた。
さらに、電気粘性流体の耐久性問題は界面活性剤で解決できない、という結論を導いた報告書が素晴らしい報告書とされたように、否定証明が最高の科学という本部長が誕生している。
電気粘性流体の耐久性問題については、それを解決できる結論を非科学的と排除しようとしたので、すぐにデータサイエンスで見出された界面活性剤を用いて、科学の方法の問題を示したのである。
I本部長ご指導の元、東大から阪大まで、博士2名を含めた優秀な6人のスタッフによる否定証明は1年かかかっているが、データサイエンスによる肯定的な結論は、MZ80Kにより一晩で出され、その実証に3日とかからなかった。なぜなら、当時の電気粘性流体をゴムケースに入れて耐久促進試験を行うと半日で失活していたからである。
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