2015.05/02 問題解決(2)
ドラッカーは、「何が問題か」をまず問うことの重要性を指摘しましたが、問題解決をどのように行えば良いか、とか問題の構造とか、そもそも問題とは何かについて明確な答えを残してくれませんでした。著書を読めば、ドラッカーが意味する「問題とは何か」の答えが見えなくもないですが、彼の著書を数冊読んだだけでは理解できません。
高校生の時に父親から勧められてドラッカーを読み始めたが、難解な本でした。眠れないときに読むにはもってこいの本でした。彼は、目の前の問題が、すぐに解くべき問題とは限らない、と述べています。すなわち、問題には、目の前に見えている問題と、目の前に見えていない問題があり、目の前の問題を解いてみたところで問題解決したことにならない、さらには間違った問題を正しく解いても得られる答えは正しくない、とまで言っています。
目の前に見える問題は理解できますが、目の前に見えていない問題を見つけるにはどうしたらよいのか。これが問題になる。彼は、問題とは、あるべき姿と現状との差異と定義づけています。すなわち現状分析と意思決定により導かれたあるべき姿との乖離から、目の前に見えていない問題が見えてくる、と言っている。
これをプロセス的に表現すれば、1.現状分析を行う、2.どうあるべきかを問う。3.1と2の差分を考える、4.そしてその差分を解決する、となります。少し表現をかっこよくすれば、戦略を考え、戦略に基づく戦術を遂行するとなるが、これはあまりにも抽象的でわかりにくい。あるいは、意思決定を行い、その結果見えてくる問題を解決するのがビジネスプロセス、という表現もできるが、これも少し抽象的だ。
一般に言われている科学的問題解決プロセスの一番大きな問題は、すでに問題が与えられていることが前提になっている。しかし、問題解決のプロセスの前段では、ドラッカーが指摘したように、まず何が問題かを考えなくてはいけない。これは科学の問題を考えるときでも同じである。この作業は仮説設定とは異なる作業であり、ヒューマンプロセスの特徴にもなってくる。
カテゴリー : 一般
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