2012.10/22 非科学的方法の重要性
昨日NHKでiPS細胞の発明に至るプロセスを解説していました。興味深かったのは、最初に20数個の遺伝子を候補として選び、1つ1つ遺伝子の機能を確認する実験を行ったが、何の変化も起きなかった。しかし、選ばれた20数個の遺伝子すべてを使った試料で変化が起きたので候補として選ばれた20数個の遺伝子は正しかった、と判断した。それから1ケ月ほど確認の実験を行い、4個の遺伝子を選んだ、というものである。
ここで大切なことは、20数個の遺伝子をすべて使った試料の実験を行ったことである。この実験を行う科学的論理があるとするならば複数の組み合わせで機能することがわかっている科学的事実が既にあった時である。しかし、この科学的事実が無かったからこそ、新発見として今回のノーベル賞受賞につながっているのです。ゆえに、少なくともはじめてこの実験が行われたことについては、非科学的論理に基づく実験という評価なります。
NHKの解説ではこのあたりの詳細な説明を行わなかったが、実はこの非科学的論理に基づく実験こそが新発見に重要なプロセスです。
冷静に考えていただければご理解いただけると思いますが、科学的論理に基づく実験では当たり前のことしか出てきません。科学的に考えて当たり前の実験結果が得られなかったなら、それは科学的に正しくないか、単なる実験の失敗である。この前提があるから、仮説を設定して、その仮説の正しさを確認するために科学者は実験を行うことができるのです。
実はこの科学的プロセスは、論文を書く時に重要であるが、何か新発見をしようとするときに、あるいはブレークスルーを行う時には不向きなプロセスです。新発見された現象について科学的な説明が与えられるので、我々は、新発見が得られるプロセスまで科学的に行われている、と錯覚しますが、有名なアインシュタインの相対性理論でさえ、思考実験という非科学的方法で生まれ、その後科学的な説明が与えられる、という手順です。高校で学ぶニュートン力学に至りましては、科学の無い時代の産物を、科学的に学んでいるのです。
多くの新発見は非科学的論理を適用したところで生まれている事実に注目すべきです。
不確実性の時代が発表されてから30年以上たち、ますます不確実な先の読めない時代になってきました。このような時に、既存のビジネスプロセスや科学的な方法論で問題解決しましても、隘路に入り込みました時のブレークスルーができません。
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