2023.11/22 高分子の劣化問題
身の回りの樹脂やゴムには様々な劣化防止剤が添加されている。それでも数年で劣化し使用不能となるケースが存在する。そこで高分子の劣化に関する研究が今でも行われている。
高分子に限らず、有機物を機能材として用いた場合にどのくらいの寿命があるのか。当方の体験では、100円ショップで購入した洗濯ばさみが1年程度の寿命しかないことにびっくりしている。
一方法隆寺の五重塔は、老化防止剤の使われていない柱で現在までその姿を留めている。あるいは、エジプトのミイラに使用された布の手触りから、部分的ではあるが劣化が少ないことを感じることができる。
物質における酸素の拡散速度を考慮するとこれは驚くべきことである。例えばてんぷら油による火災は、自動酸化によることが知られており、使い古したてんぷら油の管理に注意する必要がある。
昔はもったいない精神でてんぷら油は何回も使いまわしがされた。しかし古いてんぷら油で作られたてんぷらは胸やけがひどく敬遠されるようになったが、古いてんぷら油には過酸化物が存在し、自動酸化を引き起こすので火事以外に発がん性も疑われている。そのため、注意書きとして1回使用が書かれている食用油製品もある。
身の回りの現象から酸化劣化の問題を考えてみると、高分子の劣化問題がかなり難しい問題であることに気がつく。発火するほどの古いてんぷら油から、ミイラの布まで比較すると、高分子の酸化劣化速度が単純ではないとすぐに気がつく。
カテゴリー : 一般
pagetop