2023.12/28 浅田真央の偉大さ
先日全日本フィギュアスケート選手権が終了したが、女子フィギュアスケート世界一は、坂本花織である。彼女の流儀は、かつての女王キム・ヨナ同様に、徹底したジャンプの正確性で勝つことである。そのため難易度の高いトリプルアクセル(3A)以上の大技を取り入れていない。
この彼女の姿を見ていると、キム・ヨナを思い出し、そのキム・ヨナに果敢に挑戦していた浅田真央に思いがゆく。彼女はオリンピック以外のタイトルではキム・ヨナに勝っていた。
浅田真央の武器は、彼女のトレードマークとなった3Aである。その武器で互角以上の勝負を繰り返したが、オリンピックでは負けてしまう。その直後の世界選手権では彼女が3Aの高得点でキムヨナを圧倒したのだが、3Aによる肉体への負担で選手生命を縮めている。
坂本選手の世代で3A以上のジャンプをする日本選手も増えてきたが、浅田選手がキムヨナを越えたように、坂本選手を越える高難易度ジャンパーの選手がいない。
現在の状態から、「大事なところで転ぶ」と言われた浅田選手の偉大さが見えてくる。彼女はリスクをとっても3Aに挑戦していたことを改めて思い知らされる。
あの若い紀平選手でさえ3Aの負担からケガで長期休養を余儀なくされ、坂本選手との戦いを見ることができない。ロシアが戦争のために出場が認められず、フィギュアーのレベルが下がった、とのコメントが一時出ていたが、坂本選手の高得点を見るとそうではない。
3A以上の大技で坂本選手あるいはキムヨナのようなスタイルの選手へ挑戦することの難しさだろう。宇野選手はジャンプだけがフィギュアスケートではないと表現のレベルアップを目指しているが、フィギュアスケートがスポーツであることを考慮すると、やはり大技へ挑戦する選手が出てくることを期待したい。
それが大変難しい挑戦であることを坂本選手やキムヨナのスケーティングスタイルが示している。キムヨナは引退まで3A以上の大技に挑戦することは無かったが、坂本選手は次のステップとして3A以上の大技にチャレンジしてほしい。そのとき初めて浅田選手を越えることができるのだろう。まだ、彼女はキム・ヨナレベルである。
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