2015.08/17 新入社員実習
ゴム会社の新人研修は、人事部所属で半年という長期間だった。その半年間に座学と現場実習を繰り返し、徹底的に会社の全体業務を学べるようにカリキュラムができていた。そして研修終了後、各人の希望を第3希望まで面接で話し合い、配属が決まった。
今もそのように行われているかどうか不明だが、人材を大切にする会社というイメージは、研修にも現れていた。この研修カリキュラムの一つに技術サービス実習があり、そこでの体験を書いてみる。
某支店で1ケ月実習したのだが、ある日指導社員に連れられて、某タクシー会社を訪問した。そこにはゴム会社の材料部門の開発担当者も来ていた。そのタクシー会社で、5台のタクシーについているタイヤの各種パラメーターをそれが装着されたままの状態で測定するのが当方の仕事だった。
帰り道、喫茶店で打ち合わせが行われ、その時初めて仕事の内容の説明を受けた。指導社員は状況をご存じだったのだが、統計的なデータを得るために事前情報を隠していた、と詫びられた。
驚いたのは、商品企画テーマとしてまだ採用されていないような基礎段階の材料を市場で検討していたことだ。基礎研究段階の配合なので万が一に備え、担当者は毎月このようにチェックしながらデータを集めているという。
タイヤの品質を落とさないため、新材料を一部に使っているだけなので、その品質は商品とほぼ同等か、商品よりも品質が上がっているとのこと。実際測定データはそのようになっていた。
2種類の新材料がタイヤに使われており、その比較として既存のタイヤが統計的に5台のタクシーに配置されているのだという。実車で新技術の可能性を試してから、企画を立案するのが、担当者の仕事のやり方だと説明してくれた。
基礎検討段階から市場で技術を試す考え方は、研究開発のスピードアップのために良い考え方だと学んだ。また、それを実現するための統計的品質管理手法も指導していただき、研究所に配属されても統計学を勉強する動機付けになった。
カテゴリー : 一般
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