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2012.11/06 酸化スズゾルの難燃性能

ほとんどの高分子の難燃剤には、リン原子やハロゲン原子が含まれている。可燃性の高分子を難燃化するときに難燃化レベルにより難燃剤を用いなくても難燃化できる技術もある。特に電気製品の内部に使用する高分子では、ハロゲン含有化合物を用いるとサビ発生の原因になることもあり、ノンハロゲンの難燃化技術が要求される。

 

リン含有化合物以外でノンハロゲンの難燃剤は数少ないが、金属酸化物の中にLOIで2以上の改善効果のある化合物が存在する。酸化スズゾルもその一つで、高分子との組み合わせと分散をうまく行うと20vol%の添加量でLOIが21になる場合もある。しかし1次粒子が1nm前後の超微粒子を分散する技術は難易度が高い。また、この実験結果はラテックス中で酸化スズゾルを分散して得たものですが、実用化には経済性の問題が残ります。

 

この実験結果を実用化するには問題が多いが、注目したいのは分散状態が変わるとLOIが2以上低下する点である。分散状態を制御してどの程度難燃性が変わるのかという研究を見たことが無いが、高分子の難燃化技術開発を担当したときには確認するように努力してきた。その結果感覚的になるが、20%前後は分散状態に影響を受けている、と内心思っています。内心思っている、と表現したのは、分散状態そのものを正しく評価していないためです。実験方法として、こうしたら分散状態が変わる、という対策を行って難燃性を評価したところ実際に難燃性が変化したので、感覚的にとか、内心という表現を用いています。

 

技術開発を担当されている方は、日々の開発過程で疑問を感じる現象に遭遇する機会が多いと思いますが、それらの現象の中に論文等で公開されていない、すなわち科学的な研究データが公開されていない場合もあるかと思います。小生はそのような場合、メモを残し、次にテーマを担当する機会があったときに現象を確認するようにしています。難燃剤の分散状態と難燃性については、30年以上前に担当し疑問を持った内容を20年近く前に酸化スズゾルの帯電防止技術を担当しましたときに確認いたしました。

 

テーマは帯電防止技術開発でしたが、扱っていた素材が難燃材として50年前の論文に紹介されていた材料でした。30年以上前にその論文を読み実験で確認したときには、難燃性能が発現しませんでしたが、パーコレーション転移の研究を行っているときに、もしかしたら、と思い、社外の機関にサンプルを送りLOIを測定して頂いたら難燃性能が発現した、といういきさつがあります。難燃剤を研究されている方がもし本稿を読まれて分散技術についてご相談したいことがございましたら、いつでもメールにてご相談ください。

 

弊社では本記事の内容やコンサルティング業務を含め、電子メールでのご相談を無料で承っております。

こちら(当サイトのお問い合わせ)からご連絡ください。

カテゴリー : 高分子

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