2024.02/11 伊藤美誠選手
卓球の伊藤選手がパリ五輪補欠を辞退したい、という発言で批判の記事が出ていた。一方、他の卓球選手からは、同情する意見が出て、補欠の役割の解説まで飛び出した。
卓球ファンならご存知かもしれないが、伊藤選手は張本選手よりも劣るとして今回選手に選ばれなかったのである。潜在能力はともかく現在の伊藤選手よりも良い状態の選手は多い、と卓球協会は判断しているのだ。
彼女はその選手たちに補欠の機会を譲っただけである。補欠に自分が向いていないこと、過去に早田選手に助けられたことなど語っており、決して補欠がいやだ、とは言っていないのだ。
小学生の時に通学していた小学校で野球チームを作るというので、各クラスから2名ほど運動能力の優れた男子が選ばれ、希望者も含め30名以上集められた。
そして、2週間ほど毎日2時間の楽しい練習があったある日、指導顧問の先生からこのクラブをやめたい人はいるか、と質問があった。
当方は野球観戦は好きであったが、それよりも化学実験や植物観察が趣味で、自宅に顕微鏡や実験器具を揃えていた。料理などもたまに趣味でやっていた。当方にとって料理も立派な化学実験の一つであり、それで放課後の野球練習は負担になっていた。
ゆえに、やめたい人と聞かれ、辞めるチャンス到来とばかりに勢いよく手を挙げたのだが、当方一人だった。選ばれた時に辞退の申し出をしていたこともあり、勢いがつきすぎていた。
やや顧問の先生の表情が強張ったので少し怖くなったが、何故辞めたいのか、とみんなの前で聴かれた時に、夕飯の支度をしなければいけない、と答えている。
毎日やっていたわけではないが、先生の顔を見たときに、その答えしかなかった。結局その時辞めたのは当方一人だけだった。クラブ参加を自分から希望したわけではなかったので勢いよく手を挙げたのだが、辞める理由が自分の趣味のためと言うのにかなりの勇気が必要だった。
ましてや、母親が専業主婦であり、夕飯の支度を当方がしなくても良いことを家庭訪問で先生方も御存じだった。その母親からは辞退を申し出たことや、毎日やっていたわけではない夕飯の準備を理由にしたことできつく叱られた。
さらに、辞退の申し出を撤回するように言われたので、とうとう泣き出している。当方は、放課後の野球練習を嫌ではなかったので、特別に辞めたいと強く思っていたわけではない。
また、顧問の先生からも期待される言葉をかけられて、毎日楽しかったのだが、自分の中で優先順位を考えたときに、放課後の野球練習よりも植物採集や化学実験がしたかっただけである。
おまけに野球練習が始まった季節は、植物採集に忙しい時だった。夕飯の準備を口実にしていたが、本当は植物採集や実験をしたかっただけである。
この時のことを思い出すと伊藤選手の気持ちを理解できる。今の伊藤選手よりも補欠として優れた選手は他にたくさんいるのだ。さらに彼女としてはパリ五輪どころではなかったはずだ。それゆえ彼女は辞退を申し出ただけである。
補欠としてパリ五輪に帯同する役割も大切だが、パリ五輪に選ばれた選手たちよりも強くなる努力も日本チームとして中国に勝つためには重要である。是非復活できるようパリに行く時間も惜しんで練習してほしい。
卓球連盟も伊藤選手が引退ではなく復活への意欲を示しているのだから、理解していただきたい。わがままではないのだ。日本チームとしても伊藤選手がトップに返り咲くことはプラスになるはずだ。
当方も参加者が9人しかいない状態だったなら、辞退の申し出などしなかった。恐らく伊藤選手も同様の判断をしての発言だろう。
どうしても伊藤選手を補欠にしたいならば、卓球連盟はそのような対応をしなければいけない。伊藤選手は補欠と世界一になることと天秤にかけているのだ。
補欠として帯同すれば旅費は卓球協会が支払うことになる。卓球協会に気配りしてパリに行くよりも世界一を選択した伊藤選手を応援したい。日本では彼女のような判断をすると村八分にされたりするが、卓球協会は、退路を断った伊藤選手の判断を尊重すべきだろう。
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