2012.11/18 インピーダンスとパーコレーション転移
パーコレーション転移とインピーダンスの周波数分散あるいは誘電率の周波数分散との関係がわかると、高分子に導電性物質を分散した時に生じるパーコレーション転移の性質を詳しく調べることができる。一番の長所は精度よくパーコレーション転移の閾値が求まることである。
パーコレーション転移の閾値の推定には表面比抵抗や体積固有抵抗の測定で可能であるが、感度は20Hzにおけるインピーダンスの絶対値の方が高い。例えば酸化スズゾルをラテックスに分散した時に偏差3%程度で体積分率の制御が可能である。
酸化スズゾルのような導電性微粒子のコロイドは水溶性高分子、例えばゼラチンとの組み合わせではパーコレーション転移を生じにくく、本技術の開発当時採用されていたプロセシングではほとんどパーコレーション転移を生じないので、酸化スズゾルを初めて帯電防止層に用いた特許である特公昭35-6616が小西六工業の特許であったにも関わらず、技術が使われていなかった。
精度の高い評価技術を用いてゼラチンバインダーにおける酸化スズゾルのパーコレーション転移制御技術を開発したところ、驚くべきことに体積分率30vol%程度でパーコレーション転移を起すプロセシング条件が見つかった。この値は高分子導電体を絶縁体高分子バインダーに相分離させて生じるパーコレーション転移とほぼ同じである。すなわち1-2nmの超微粒子は分子と同様の振る舞いをしていることを示す事例と思います。
インピーダンスとパーコレーション転移との関係を利用した評価技術は精度よくパーコレーション転移の挙動を解析できるので帯電防止技術だけでなく絶縁体高分子バインダーへ導電性物質を分散するときの評価技術、材料設計技術として利用可能である。
パーコレーション転移については、弊社の電脳書店で販売中の電子セミナー「高分子材料のツボ」でも扱っており、購入者の質問も受け付けております。質問が多いようであれば、パーコレーション転移に関する電子セミナーも販売したいと考えております。なおパーコレーション転移については日本化学会や高分子学会で発表済みで日本化学会では当時の部下が講演賞を、コニカ株式会社は日化協技術特別賞を受賞しています。
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