活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2015.12/22 AVに見るコモディティー化(3)

音が再生装置でそれほど変わるのか、という体験は、オーディオを多数扱っている店でスピーカーを聞き比べてみるとわかる。すなわち、スピーカー以外の装置をすべて同一にしてスピーカーだけ交換し聞き比べるのである。オーディオ店として看板を掲げている店では交換視聴の設備を必ず備えていて容易に比較試聴が可能である。
 
2台で10万円程度のスピーカーであればDALI社のスピーカーをレファレンスに入れて聞き比べると、各社の違いを聞き分けることが可能である。面白いのはこのクラスでは多少の差こそあれ、DALI社以外の差は小さく、コモディティー化が進んでいるような印象を受ける。
 
次に2台で60-80万円程度のスピーカーを聴いて欲しい。このクラスになると日本メーカーを置いている店は少ないし、日本メーカーでこのクラスを販売しているのは、2社程度である。驚くことに欧米のスピーカーメーカーの独壇場である。
 
「なんクリ」で有名になったJBLもこのクラスに力を入れているメーカーだが、昔懐かしいサウンドにあこがれる人以外はこのメーカーを今選ばないだろう。音の解像感が他社に比べると劣っているように聞こえるのだ。
 
当方はJBLの音は嫌いではないが、この値段を出さなくても他社の安価なスピーカーで雰囲気を味わうことが可能、という意味でコストパフォーマンスが悪いスピーカーだと思っている。20畳以上の広い部屋ならばJBLのスピーカーが必要だが、狭い部屋ならばオンキョーの超ロングセラーであるブックシェルフ型スピーカーで十分である。価格も安い。
 
このクラスでは、中高音域用のスピーカーの技術の差、用いている材料の差を音として感じることが可能で、技術革新の激しい時代において未だにコモディティー化が進んでいない世界を垣間見ることができる。
 
恐らくオーディオの技術開発において計測器では計れない感性の領域があるためと思われる。すなわちその商品を開発するために必要な技術を形式知で語り尽くせない、実践知と暗黙知が大きな比重を占める世界と思われる。
   

カテゴリー : 一般

pagetop