2015.12/26 混練技術のどこが難しいのか
高分子の混練の難しさは、混練されている高分子の状態をそのまま観察することが難しいためと思っている。オープンロールの混練でさえ、すべての状態を観察することが不可能である。ましてやバンバリーや二軸混練機ではオープンロールに比較し見えない部分が圧倒的に多い。
10年近く前、上海の某大学で混練の専門家と称する大学教授の怪しい研究室を見学した。自己紹介ついでに行われたプレゼンテーションはどこかで見たような資料だったが、説明が中国語になっていたのでコピペではなかった。
最も怪しかったのは、二軸混練機の動作を可視化し研究を進めている、という話だった。実験装置を見せていただいたら、混練機のシリンダーの一部がガラスになっており、実際に高分子が混練されて流動している状態が見えるようになっている。
そして目の前で、紅白のペレットをその二軸混練機で混練して見せ、一様のピンクになったストランドを示しながら、高分子の流動がよくわかるでしょう、と言っていた。確かに紅白のまだらになった状態からピンクに変色する過程を見ることができたが、それで何がわかるのか。
質問をしたら、混練されてゆく状態を見ることができる、という回答以上のご返事を頂くことができなかった。可視化できるようになっている装置ではあったが、温度計以外のセンサーがついておらず、目で見て楽しむ以外目的の不明な装置だった。
さらに怪しかったのは、ポリエチレンにナノカーボンを分散する技術について、この装置で研究していると言っていたことだ。そしてカーボンナノチューブの分散した真っ黒で薄く引き延ばされたポリエチレンシートを見せてくれて、太陽光にかざして見ると光が見える、と誇らしげに語っていた。当たり前の現象にドヤ顔されても返す言葉が無い。