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2017.04/24 科学的方法の問題(3)

課内会議において指導社員は、防振ゴムの材料設計に関する理論的研究の進捗報告をしていた。その報告書には当方が日々実験したデータから報告書の内容に合う一部のデータが参考に提示されていた。すなわち、指導社員の仮説を証明するような形式で当方のデータが使用されたのだ。

 

指導社員は自分で出したデータがあってもそれを使用しなかった。性能が低い当方のデータを使用していた。そしてその性能を上げるための粘弾性的考察が報告書の最後に加えられた。

 

最初は悪いデータしか出ていなかったので、当方はそれでも不満が無かった。しかし指導社員に、一年後には新配合処方は必ず見つかるから、すべての組み合わせを計画通り根気よく実験すればよいことを告げられたことで不満があった。

 

それですべての組み合わせ実験を1ケ月で終わらせることを思いついた。そのためには効率の良いスクリーニングの方法が必要で、その方法について仕事を担当してから毎日考えていた。しかし、見出したその方法も以前からわかっていた、と言われ、本当に1ケ月で仕事を終わらせてやろうと決心した。

 

毎日サ-ビス残業に明け暮れ、土日も休日出勤した。そして予定されていたすべての配合処方を3週間程度で終えることができた。しかし、このころの仕事の状況についてはすべて報告していない。通常の進捗レベルのデータを報告していただけだった。

 

この無茶な仕事の途中で指導社員が見出した処方よりも物性の良い配合処方が見つかった。しかし、それも3週間隠していた。そして物性の良かった配合処方について仮説を立てることができたので詳細な研究をするために某樹脂会社にサンプル依頼した。

 

その他新入社員テーマとしては計画されていなかった業務を行い、樹脂補強ゴムの設計因子について明らかにすることができた。それは粘弾性理論と異なる視点で、分子設計と呼べる内容にまとめることができた。

 

耐久試験データは十分集まっていなかったが、得られた結果には自信があったので、叱られることを承知で指導社員に恐る恐る報告した。意外にも指導社員は感動され、翌日から見出された配合処方の解析業務が中心になり、分析グループの女性陣と仕事を行うことになった。

カテゴリー : 一般

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