2014.02/16 パーコレーション転移(7)
絶縁体フィルムに帯電防止層を塗布して、そのインピーダンスの周波数分散を測定すると低周波数領域で異常分散を生じる。面白いのは同じ表面比抵抗の塗膜でもこの領域における分散の様子が異なることだ。
イオン導電性高分子で帯電防止層を形成した場合と電子伝導性微粒子を薄膜に分散して設計した場合でこのような差が生じる。さらに両者の表面比抵抗が一致しても帯電防止性能に違いが生じる。表面比抵抗が10の8乗Ωレベルになるとその差は小さくなるが、10の9乗Ω以上の高抵抗領域では、表面比抵抗と低周波数領域におけるインピーダンスの値の差が大きくなる。
すなわち表面比抵抗が同じ値でも、100Hz以下のインピーダンスの値が大きい帯電防止層が高い帯電防止性能を示す、という現象が生じる。例えば実技テストであるタバコの灰付着テストを行うとタバコの灰の付着距離に差が生じる。
インピーダンスは交流で測定される抵抗というイメージを持っているとこの現象に悩むことになる。100Hz以下のインピーダンスの値とタバコの灰が付着し始める距離との関係を調べると高い相関が認められる。4種類の帯電防止化合物を用いて様々な表面比抵抗の帯電防止層を塗布したフィルムを製作し、その相関係数を調べたら、ほぼ1となった。しかし、表面比抵抗については0.6であった。(続く)
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