2014.02/19 パーコレーション転移(10)
数多くの測定データをA先生にお見せしたところ、単純に静電容量が効いている結果ではないか、といわれた。さっそく直流抵抗とコンデンサーの組み合わせモデルを使った数値シミュレーションを行おう、ということになった。
1次元のモデルでは、抵抗とコンデンサーの数が問題になる。この総数をNとし抵抗の数をnとすればコンデンサーは(N-n)となる。そしてその配置を工夫すると一本の回路は容易に数式化できる。これがNとおりあるとして、Nを無限大にすると式が完成する。
完成した式について解くとシミュレーションが完成する。
おもしろいのはこの程度の雑なシミュレーションで実験結果をうまく説明できたのだ。三次元抵抗分布のシミュレーターを開発していたので同様の方法で抵抗とコンデンサー二元系のシミュレーションを行わなければいけないのか、と心配していたが、技術の理解なのでこの程度で良い。
このシミュレーション結果を用いてコンデンサー成分を大きくしてゆくと低周波数領域の周波数の異常分散が大きくなる現象を説明できた。すなわち、導電性微粒子の距離が小さくなってゆくと導電性粒子間で形成される静電容量は大きくなり、低周波数になればなるほど大きなインピーダンスとなる。
一方このような現象の場合に直流で表面比抵抗を計測すると抵抗は下がってゆく。すなわち導電性粒子の抵抗は変化しなくとも、クラスターが形成されると静電容量が大きくなって低周波数になればなるほどインピーダンスが上がるという現象が起きることになる。
数値シミュレーションの結果から周波数のインピーダンス依存性を調べた多数のデータはパーコレーションでクラスターが形成される過程を調べた結果であることが分かった。
この結果から、帯電防止材が異なると、すなわち導電性材料の抵抗が異なると表面比抵抗の値が同じでも100Hz以下のインピーダンスが異なる現象が生じることも理解できた。また、同一材料でもクラスターが小さいならば表面比抵抗が同一でも100Hz以下のインピーダンスが異なることも推定できた。すなわち100Hz以下のインピーダンス変化をみれば、同じ帯電防止材料を使用しているときのパーコレーション変化をうまくモニターすることが可能となる。(続く)
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