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2016.06/13 配合設計(たとえば難燃性樹脂)(1)

 機能性材料を設計するには、セラミックスや金属であれば、その機能を持った結晶構造を選択するところから始まる。例えば、ペロブスカイトは高誘電体あるいは圧電体などの性質を持った化合物群で、各種機能材料を設計するときに利用されている。
 
 このような構造と機能との関係を備えた材料について、金属やセラミックスの教科書を見ると、強相関物質という言葉が使われている。例えば銅のような導電体では、その結晶構造を構成する原子の原子間距離が変化したとき、それに相関して導電性が変化する現象が観察されており、ここから強相関物質という概念が生まれている。
 
 この材料の構成因子と機能が相関するという概念は、機能性高分子材料を取り扱うときにも重要で、2000年前後に強相関ソフトマテリアルという言葉が生まれている。ゆえに機能性高分子材料の開発では、目標とする機能と相関する因子を材料に創り込む考え方で設計を行う。
 
 例えば、導電性材料を高分子の一次構造で実現したいならば、ポリアセチレンやポリアニリンにドーパントを組み合わせた設計になる。高次構造で実現したいならば、絶縁性の樹脂に導電性フィラーを添加するシステムを選択して材料設計を行う。
 
 前者ではロバストの高い導電性を容易に実現出来るが、後者では導電性フィラーの分散状態で引き起こされるパーコレーション転移という悩ましい問題がつきまとう。しかし、大半の高分子は絶縁体なので、後者をうまく使いこなす技術は重要である。
 
 ところで、機能性高分子材料を電子部品に適用するときには、電気的機能以外に難燃性という機能も多くの分野で必要となる。
 
 燃えやすい高分子材料を燃えにくくするためには、難燃性のフィラーもしくは難燃剤を添加しなければいけないが、材料の難燃性機能と難燃剤あるいは難燃フィラー添加量との間にも相関性が現れる。

カテゴリー : 高分子

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