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2016.10/12 組織は仕事の道具である(2)

当方が遅くまで仕事をやっているのは、仕事をしているのではなく、会社で遊んでいるのではないか、という噂だったらしいが、指導社員は当方を気遣って「悪い噂」と表現されたのだった。同期の友人に相談して、この悪い噂の中身を知ったのだが、趣味で仕事をやっている、という噂もあったようだ。いずれにしてもサラリーマンとして良い噂ではない。
 
毎日遅くまで楽しそうに実験をやっていたのは事実である。しかし、それはドラッカーの言うところの「貢献と自己実現」を働く意味として理解していたからで、遊んでいるつもりはなかった。同期からは一年の仕事を3ケ月でやるという考えは、まともじゃない、とアドバイスされた。
 
当方が毎日のように新しい配合を生み出していたので分析グループでも依頼業務が多くなり、その結果残業が増え、問題になっている、と知らされた。成果は早く出たが、社内でいろいろ問題が起きていたのだ。指導社員は当方のモラール低下を心配して、それらを口うるさく言わなかったようだ。
 
この時、組織は成果をだすための道具という意味を体感し、道具の酷使は問題を生み出すことも理解した。指導社員は実務に長けた人で業務に関係する部署への業務依頼方法を最初に指導してくださった。すなわち道具の使い方である。その結果自分のペースで業務をすることができたのだが、その結果関係部署へ迷惑をかけていたのだ。
 
新入社員は道具としての組織のうまい使い方を知らない。社会に出て初めての体験だからだ。使い方を誤れば、道具の使用ができなくなる。道具を使えなければ成果を出せなくなる。成果を出せないと分かったときに「やる気」に燃えた新入社員のショックは大きい。道具の使い方を丁寧にすれば良いだけだが、それができないので、道具と格闘することになる。
 
組織と個人の関係において、組織は単なる道具に過ぎないが、この理解は意外に難しい。自分以外にもその道具を活用している多くの人がいることや、道具の効率的な使い方など実務を通じてしか理解できないことが多い。実務を担当していても誰かが指導しなければ、新入社員は道具を使う上で発生する問題や、道具をうまく使うべきタイミングなど分かるはずがない。
 
「ホーレンソー」を社会人の最初に習うが、これは組織の使い方の基本の一つである。報告と連絡はそれが無いときに困る人が出てくるので注意されて自然に身につくようになる。しかし、相談は自ら行動を起こそうと努力しない限りなかなか身につかないスキルである。だから指導社員は最初の二年程度は毎日新入社員に気を配る義務がある。どんなに優秀な新入社員でも最初から上手な相談ができる人はいない。道具としての組織を理解できなければ上手な相談などできない。
 
道具が自分の手に負えなくなったとき、道具を手放せば良いだけである。新しい道具でまた成果を出せば良いのである。このあたりの見極めも経験しなければ身につかず、道具を前に途方に暮れる。壊れた道具を直すのは経営者の責任である。道具が壊れていることを知らせるのはメンバーの役割で内部告発も最近は奨励されるようになってきた。企業が社会の組織と位置づけられているからだ。コンプライアンスの重要性が組織のあるべき姿を変えた。
 

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