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2016.11/07 ピコ太郎式問題解決法の事例

11月15日に開催される問題解決法のセミナー( https://www.rdsc.co.jp/seminar/161116 )について弊社へお申し込み頂ければ割引価格で受講可能です。今日はこのセミナーの内容について少し紹介する。
 
環境対応樹脂の開発を退職直前の一年間担当した。当時環境対応樹脂と言えばポリ乳酸が有名で、様々なポリ乳酸ベースの樹脂が開発されていた。ただ、ポリ乳酸は燃えやすく射出成型しにくいのでそのままでは複写機などの精密部品の材料として使えない。
 
そこでポリカーボネート(PC)とポリ乳酸(ポリラクティックアシドPLA)の組み合わせ樹脂が材料メーカー各社で開発されていた。燃えにくいPCに燃えやすいLAを30%程度組み合わせて難燃性を高めていた。ポリ乳酸は生物由来の材料なのでこのPC+PLAは、環境対応樹脂と呼ばれた。これをもとに、PLAの代わりにごみのPETボトルを使うアイデアを考えた。すなわち、PC+PET(ゴミ)である。
 
PC+PETはPC+PLAと同じような手法で難燃化でき、簡単に射出成型可能な樹脂を開発できた。しかしこれでは面白くないので、PC+PET+PLA+PCとくっつけてみたところ面白いアイデアが浮かんだ。ごみのPETの中に多数の樹脂をブレンドして射出成型しにくいPETを射出成型できるようにするアイデアがひらめいた。新たな樹脂PPPPである。
 
PC+PETでは、PETの含有率が30wt%だったが、PPPPでは、PETの含有率を80%程度にしようと考察した。PLAの代わりにPENを、PCの代わりにPPSをとテキトーに加えて、素材の強相関性に着目し最適化したところ難燃剤を使わなくてもUL94-V2を通過できる新たな樹脂を開発できた。
 
PPAPで大切なところは、パイナップルとペンの組み合わせで満足するのではなく、それらを合体させて驚くところだ。すなわち、お手本を真似ることで新たなアイデアを創りだし、さらにそれらを融合して独創までアイデアを練り上げる手順をPPAPは示している。
 
この方法では、強相関性に着目すること(科学をベースにおいている)で、試行錯誤を効率的に行い、実現している。すなわち、アイデアを生み出すプロセスはピコ太郎と同様の非科学的であるが、練り上げるときには、科学をベースに練り上げるので、その結果出来上がったものについて逆に科学的考察を加えると科学的な香りが見えてくる。科学の無い時代でも時間はかかったが新たな技術は生まれていた。これからの時代はこのような非科学的手法も用いながら新たなアイデアを出して新たな科学の芽を見つけてゆくことが肝要ではないか。
 
 

カテゴリー : 一般

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