2017.03/14 パーコレーションと複合材料(2)
フィラーを高分子材料に分散しようとすると、フィラーと高分子材料との間には必ず何らかの相互作用が働き、思うような高次構造を実現出来ない、というのが材料屋の悩みで古くから混合則が議論されてきた。
混合則では、例えば導電体を高分子材料に分散して抵抗を制御しようとする問題において、その抵抗変化の関係がR=n1xR1+n2xR2(直列接続)と書き表されるのか、1/R=(n1/R1)+(n2/R2)(並列接続)と書き表されるのか、といった議論となる。
すなわちフィラーが直列接続的に高分子材料に分散しているのか並列接続的に分散しているのか、という議論である。そのままこの議論を聞いていると科学的な議論に聞こえる。
電子顕微鏡など直接高次構造を見ることが可能となってもこのような議論がなされており、さらに、フィラーの分散状態について混合則の式を改良してより近似式として「自分の実験データ」をうまく説明できる式が幾つか提案される始末である。
この混合則の議論について歴史的に調べたなら、科学が重箱の隅をつつき始めたときにどうなるかが見えてくるのではないかとさえ思いたくなるぐらい幾つかの近似式が過去に提案されている。
複合材料の世界では、混合則による議論が30年以上続けられており、それをまじめに扱った学位論文を読んだときには、思わず吹き出してしまった。重回帰式で式を求めるだけの仕事で学位が取れた時代がこの半世紀の間にもあったのだ。
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