2017.06/18 技術開発のプロセス(1)
科学的な問題解決プロセスは、小学校から学んできたのでホームズ探偵の小説を読めば簡単に理解できるのではないかと思う。それでは人間の営みとして古くから行われてきた技術とはどのようなプロセスなのか。
ゴム会社の新入社員発表会においてS専務からタイヤという商品が科学的なプロセスだけで開発できないと教えられた体験をこの欄で書いている。科学一色の風土の研究所に配属されたが運よく優秀な技術者の指導を3ケ月受けた思い出も書いた。
社会に出て一年もたたないうちに学生気分は抜け、科学というものに疑問を持ち始めた。しかし、哲学者ではない当方はそのことだけを考えることができず、結局担当した仕事の中で試行錯誤を行いながら思索を深めていった。
新入社員テーマだった樹脂補強ゴムの開発は、一年の予定を3ケ月でやり遂げ、その結果人事異動となり、ポリウレタン発泡体の難燃化技術開発がテーマになった。
このテーマでは、ホスファゼン変性軟質ポリウレタンフォームやホウ酸エステル変性ポリウレタンフォームの成果を学会発表や論文発表をしている。上司の主任研究員が科学を大好きな人だったので外部発表の機会に恵まれたわけだが、それにも関わらず科学も技術もよくわかっていないとうわさされていた人だった。
うわさされていた原因は、「仮説を立てて仕事をせよ」とか「もう少し科学的な考察をしなさい」とかが口癖だったからだ。しかし、この言葉を聞いた人が「例えばどのような仮説になるのでしょうか」と質問をしたところ、「それを考えるのが君の仕事だ」となり指導になっていなかったために、ご本人は仕事を理解していないのでは、とうわさされるようになった。
カテゴリー : 一般
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