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2018.11/15 パーコレーションのシミュレーション

高分子に微粒子を分散する実験では、パーコレーション転移という現象に関する知識の有無がその後のアクションを左右する。


面白いのは1980年ごろの化学系の教科書には、このパーコレーションの記述は無く、混合則を用いて現象を説明していた。


また、学会でも混合則が消えてパーコレーションがその議論の中心になっていったのは、2000年を過ぎてからだった。


ところがパーコレーションについては、1950年代にすでに数学者の間で議論されていた現象を理解する概念だった。1970年代にはその体系が完成し、1980年代になるとスタウファーによる教科書が発売されている。


当方がこのシミュレーションプログラムをC言語で完成させたのは、ゴム会社から写真会社へ転職し、数か月間閑職にあった時だ。論文にまとめようとしたときに学会誌「炭素」に他の研究者から類似の方法によるシミュレーションプログラムが公開された。


おそらく材料系の研究者が混合則ではなくパーコレーションで現象の理解を試みるようになったのはこのころだろうと思う。しかし、当方は1979年に指導社員からパーコレーションについて習っていた。


この神様のような指導社員は、今ならば物理系専門職と呼べるキャリアの方で、そのため、材料系の教科書に書かれた混合則についてそれが話題になる時にはなぜパーコレーションで議論しないのかぼやいていた。


このボヤキは、科学の問題を指摘していたようなものだった。すなわち、科学が発展するときに蛸壺化がどうしても起きがちである。


当時π型人間の重要性が叫ばれ異なる専門領域を2つ以上極めることの重要性が指摘されたりしていたが、専門領域がどうのこうのというよりも、現象と接するときに既存の形式知にとらわれないように心がけることが最も大切だと思う。


子供のころテトロドトキシンで有名な故平田先生にあこがれ、有機化学を目指したが、大学院進学時に突然在籍した講座が閉鎖されるという事態になり無機材料の講座へ進学することになった。


人生を振り返ってみると、無料で勉強できたこの時の2年間の複雑な気持ちが、専門にこだわらない考え方を身に着けるきっかけになったようだ。人生塞翁が馬である。


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