2019.07/17 高分子のプロセシング(20)
混練では、昨日書いた高分子特有の現象について熱力学第一法則を思い浮かべながら現象を眺めるとよい。そしてTcとTmのずれをよく体感してほしい。
熱力学第二法則では、変化の方向を想像することができ、エントロピーSが増大する方向とは、非平衡下のプロセスであってもガラス化する方向へ高分子の状態は変化することを容易に理解できる。
紐状の高分子ゆえに状態変化が無機材料と異なるが、配合組成その他によっても、TcとTmのずれは影響を受ける可能性がある。
組成物では状態変化がさらに複雑になるので、混練後のコンパウンドについて生産が安定するまで、これら熱分析に現れるパラメーターを観察した方が良い。
例えばDSCだけでも参考データとして測定しておくとよい。TmとTc同様に重要なパラメータとして、ガラス転移点(Tg)がある。
ガラスの定義は多くの無機材料の教科書に書かれているにもかかわらず、高分子関係の教科書にあまり書かれていない。
「非晶質でTgを有すること」がその定義であるが、無機材料のガラスでは、その組成から析出する結晶のTcがTgより低いのでその現象を理解しやすい。
しかし、高分子でTgは、結晶性高分子でもTgが存在してDSC(differential scanning calorimetry)を測定すればTcに起因する発熱ピークより低い温度でTgの変曲点が現れる。
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