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2019.11/18 パーコレーション転移

短時間でコンパウンドが吐出される二軸混練機において、混合状態の不安定さが原因となる。この時、深刻な問題となりやすいのが、パーコレーション転移という現象である。

 

これは、高分子にカーボンの様な導電性微粒子を分散し半導体高分子材料を製造しようとしたときに必ず遭遇する現象であるが、導電性だけでなくフィラーによる弾性率の改良を行う時にもこの現象は発生している。

 

しかし、パーコレーション転移による弾性率変化は、導電率変化よりも小さいのであまり問題となっていない場合が多い。

 

パーコレーション理論とは、クラスターの数と性質を取り扱う、少し難解な形式知である。その理論的な扱い方には、クラスター生成を格子点のつながりとして扱うボンドパーコレーションと、格子で囲まれた領域の中心(立方体であれば、その中心を面心という)が形成するクラスターとして扱うサイトパーコレーションの二通りがあり、二次元から多次元まで拡張されてきた。

 

そして、無限につながったクラスターが生成しはじめるときのクラスターの割合をパーコレーション転移の閾値(Pc)と呼び、1950年代に数学者によりその値が議論されてきた。

 

ところが、モデルにより一定とはならないので数学者以外に閾値の理解は難しい。門外漢には、クラスター形成過程で、急激に何かが染み出したように系の性質が変化する現象として、この転移を理解できればよい。

 

そもそも、パーコレーション理論の名前は、コーヒーのパーコレータが由来であり、「ある閾値で物性が急変する現象」という概念こそが重要である。

 

パーコレーション転移は数学の世界ではかなり古くから知られていた理論であるが、その取扱いの難解さだけでなく概念の意味が材料技術者に理解されず、高分子材料に応用されたのは1990年前後からである。

 

昭和35年に開発された非晶質SnO2ゾル薄膜を用いた透明導電薄膜技術を温故知新により現代に蘇らせたフィルムの帯電防止技術では、薄膜のインピーダンス評価を行い、パーコレーション転移の閾値を見積もっている。

 

そして18vol%という低添加率でパーコレーション転移を生じさせる技術開発に成功した。この技術の考え方は、混練により、半導体コンパウンドを開発するときに参考になる。

カテゴリー : 高分子

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