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2020.03/19 ホスファゼン変性ポリウレタン(1)

ホスファゼンで変性した発泡ポリウレタンの工場試作に成功したのは1980年6月である。企画と同時に研究開発を1980年1月にスタートしている。

 

研究開発管理では、現在普及しているSTAGE-GATE法など採用されていなかったので、加速度的に工場試作まで進んだ。

 

1979年12月末までの3ケ月間防振ゴム用樹脂補強ゴムの開発を担当していたが、1年間の新入社員テーマを3ケ月で仕上げたので、樹脂研究グループから高分子合成研究グループへ異動となった。

 

指導社員も男性から女性に代わった。30手前の既婚女性で美人かつ優しかった。単純な当方は、おそらくサラリーマン生活で最もモラルが上がっていたと思う。高純度SiC合成の企画もこの時生まれている。

 

混練の神様のような男性指導社員の優れたマネジメントでは、1年の予定のテーマを3ケ月で完成する能力と高分子に関する専門性を向上できたが、自己の能力というよりも指導社員の能力の賜物である。

 

自分で考え行動したというよりも指導に対して真摯に応えた結果だった。だから防振ゴムの配合を短期に見いだせても満たされていないものを感じていた。

 

女性指導社員は当方に優しく何でも相談してくださった。これも指導社員としての一つのスタイルだろう。美人から優しく相談されて活性化しない若い独身男性は少ないだろう。

 

これが男性の上司なら、それを考えるのはあんたの仕事だろう、という気持ちが芽生えてしまう。

 

それが積み重なれば上司不信となるので、部下育成をもくろみ相談形式でマネジメントを行う方法は、管理職研修で奨励されても同性同士ではうまくいかないケースが多い(これをうまく実践するにはコツがある。弊社にご相談ください。)。

 

当方の世代は、フーテンの寅さんにあこがれ、男性はたくましくなくても強くありたいという価値観で女性から相談されれば、無理をしてでもそれに本能的に応えようと努力する男が多かった。

 

その結果頓珍漢な事件が起きるのは寅さんのパターンだが、このホスファゼン変性ポリウレタンの開発の時も始末書を当方が書くことになるおかしなことになっている。ただ、当方は真摯に相談内容に応えていただけだが。

 

例えば、何か新規に合成して軟質ポリウレタン発泡体を難燃化できないかしら、と相談されてすぐにホスファゼンの新規誘導体で変性する技術を提案している。

 

さらに、いつごろできるのかしら、と言われて来週月曜日にはできていますと答えて、金曜日にホスファゼンのジアミノ体とイソシアネートの反応したオリゴマーの分析結果を提出していた。

 

相談内容は次第に難しくなっていった。来週には発泡体の極限酸素指数データぐらい出てるのかしら、と言われて、必死になってポリウレタン発泡体を合成しようとしたが、これが極めて難しく、うまく発泡体ができない。

 

イソシアネートとポリオールの反応はうまくいっていたが、発泡と重合反応とのバランスを取るのが難しいのだ。

カテゴリー : 高分子

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