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2020.08/11 コンセプト(6)

妄想は、時としてヒューリスティックな問題解決法につながる。PPSと6ナイロン、カーボンの3成分からなるコンパウンドが、押出成形でベルトに変わる。

 

その瞬間、PPSは結晶化してベルトは金属音を放つ。フローリー・ハギンズ理論の正しさを示すかのように6ナイロンがPPSに相溶せず、溶融状態のPPS分子が折れ曲がり、ラメラを形成後それが集まり球晶となる。

 

その結果、6ナイロンは島相として、PPSの海に分散する。これは妄想ではなく高分子化学の教科書に書かれていても良い話である。

 

島状に分散した6ナイロンもパーコレーション転移を起こせば、カーボンもパーコレーション転移を生じる。だから、カーボンは6ナイロンの分散の影響を受け様々な分散状態となる。この辺りから妄想の領域に入ってゆく。

 

ベルトの押出金型には必ず中子が必要で、中子をどのように固定するのかで金型形状が異なるが、固定部分でウェルドが発生する問題がある。

 

固定部分があっても流動状態が均一であれば大きな問題にならないが、6ナイロンの油滴やカーボン粒子が流動を不均一にする。その結果ウェルド部分は他と異なるパーコレーション転移を起こす。

 

妄想が少しずつ膨らんで行くが、もし6ナイロンがPPSに相溶して流れていたらどうなるか、とか、相溶しない組み合わせだから、金型を出てサイジングダイに接触した瞬間にスピノーダル分解を起こす、とか、スピノーダル分解して6ナイロンが析出するときに6ナイロンと相性の良いカーボンは6ナイロン相の島に集まってくるとか、までたどり着くと、カーボンの分散状態を制御してベルト抵抗を均一に安定化するヒントも見えてくる。

 

ものすごい妄想であるが、白日夢を見ているかのようにボーとしていた瞬間、低周波数音が聞こえてきたのである。

 

6ナイロンがPPSに相溶したままならば、PPSは結晶化せず、ベルトは金属音とならない。また、相溶という現象は、非晶質相だけで起きる現象、というのは科学の世界の話である。

 

低周波数の音を発生しているベルトでは、PPSに6ナイロンが相溶するという信じられない現象が起きているかもしれない、と思っても、妄想は妄想として扱い、現実に取るべきアクションを冷静に考えなければいけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー : 高分子

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