活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2022.10/01 データサイエンスと技術者のスキル(2)

多変量解析を30分程度でできても評価されるどころか馬鹿にされたのが1980年代である。声のでかい、後に研究所長にもなられた科学者から、単相関のグラフを重ねたものとどこが違うのか、アホ、とまで言われている。


研究所で高く評価されていたこの方は、例えば重回帰分析における偏回帰係数から得られる情報の意味や、主成分分析で得られる一次独立空間で示される分布状態の意味などご存じなかった。


確かにそれらから得られた結果は、単なる数値の統計解析の成果にすぎないが、それらを考察し目的変数に対する寄与を評価する方法は非科学的であっても有用性の高い問題解決法の一つとなる。


科学を重視しすぎて否定証明をやっていても問題は解決しない。科学的には二律背反が生じ、解けない問題でも解かなければいけないのが技術者なのだ。声のでかい科学者にはそのような説明は、KKDでしか問題が解けないアホのたわごとと言われている。


当時に比べれば大きく時代が変わったと当方が感じるのは、この声の大きい科学者のおかげだと感謝している。少なくとも1980年代まで日本中は科学思想一辺倒だったのだ。


当時のゴム会社の研究所の状況は統一教会問題同様に反省が行われても良いとさえ感じている。年収の半分もしたMZ80Kのシステムを購入させられたのである。


1980年代に一部の科学者の手による科学見直しの機運が出てきて、アメリカではトランスサイエンスと言う言葉が生まれている。しかし、バブル崩壊と同時にこの機運も吹き飛び、トランスサイエンスが改めて日本で取り上げられたのは2000年代からである。


科学誕生により産業革命以降急速に技術が進んだ。ただし、これは科学により真理の積み重ねが成された結果であって、それゆえ科学が唯一の技術開発の方法と信じるのは、紀元前から人類が営みとして進めてきた技術開発の蓄積を否定するものである。


科学同様に技術開発を進める思考方法の存在を古い遺跡などから知ることができる。直感が必要となるユークリッド幾何学も改めて見直し、科学教育同様に扱った方が良いと思っている。

カテゴリー : 一般

pagetop