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2022.12/17 高分子の難燃性(2)

フェノール樹脂は、耐熱性樹脂として知られているが、その難燃性は合成条件により大きく変化する。空気中で簡単に燃焼するようなフェノール樹脂から空気中では着火しにくく炭化するだけのフェノール樹脂までさまざまである。


PPSという樹脂は、典型的な結晶性樹脂でその成形体は脆い。球晶が十分に大きく成長するのでこの脆性が出てくる、と言われており、ナイロン例えば6ナイロンを添加すると球晶の成長が阻害され、脆性が改善される。


特許も出願されているのだが、この方法によりTgが数度下がることはあまり知られていない。添加された6ナイロンの一部が相溶しているかもしれない現象だが、6ナイロンのTgも現れるので、相分離していることが伺われる。


ところがこれは通常の二軸混練機で混練した時であり、カオス混合機を取り付けると、6ナイロンのTgが消失し、PPSのTgが10℃程度低下して1カ所だけTgが現れるポリマーアロイとなる。


6ナイロンのスピノーダル分解速度は遅く、射出成形しても押出成形してもこの相溶状態は変化しないので、結晶化していないPPS成形体が得られる。


PPS単体のMITでは3000以下だが、6ナイロンを非相溶状態で押出ベルトとすると3200から3500程度となり、靭性が若干改善される。ところが6ナイロンが相溶状態の押出ベルトになるとMITは20000以上となり10倍近く靭性が向上し、MFPの高速ベルトとして使えるようになる。


面白いのは、LOIは変化しないのだ。自分で測定していない実験結果なので少し怪しいと思っているが、平均値は同じであり、標準偏差に違いがみられる程度である。


フェノール樹脂のLOIが、その原材料やプロセス条件が異なると、LOIが19から40程度まで変化する現象を体験した立場では、このPPSのLOIが非晶質状態のベルトと結晶状態のベルトで変わらない現象は、かぐや姫が目の前に現れたような驚きである。

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