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2023.08/17 企画と多変量解析

昨日フロントローディングと言う言葉が研究開発企画で使われるようになったことを書いたが、フロントローディングを実施するためには、研究開発ターゲットのモデリングができなくてはいけない。


ゴム材料ならば粘弾性モデルとしてダッシュポットとバネのモデルが50年近く前に使われた。今はOCTAを使うことになるが、当方は科学で否定されているにも関わらずダッシュポットとバネのモデルが便利だと思っている。


技術の企画段階におけるモデリングでは、科学に縛られる必要はない。そもそも研究開発において科学で未知の問題を扱うリスクは常に付きまとうので、事前に非科学的であっても問題を考える(これをフロントローディング)作業は研究開発の成功率を高めるために重要である。


ダッシュポットとバネのモデルは高分子学会や日本化学会では使われなくなったが、技術開発の現場では重宝する。クリープの問題を扱えない不便さはあるが、それを承知で用いれば物性シミュレーションを容易にできる。


それならばOCTAを使えば同じことができる、と言う人がいるかもしれない。しかし、OCTAでは科学で予測される当たり前の結果しか出せない。50年近く前の指導社員は、科学で予想がつかないモデルを組み立て防振ゴム用樹脂補強ゴムを設計し、当方により3か月で製品に使用できる独創配合が見出された。


非科学的なモデルでも製品を生み出す作業で使用可能である。さらに非科学的なので科学では設計できない製品も実現可能である。例えばニッサンのe-Powerは50年近く前に科学的に否定された技術である。


エンジンで発電し、モーターで走るのはエネルギー効率が悪いのでトヨタからハイブリッドエンジンが提案され、20Cに間に合いました、というキャッチフレーズで科学的に当たり前の高燃費の自動車がヒットしている。


しかし、技術のニッサンは黙っていない。科学的には否定された効率の悪いe-Powerでハイブリッド車の実燃費と同様の燃費を実現した車を21Cに誕生させた。さすが技術のニッサンである。


同様に科学的ではないが、企画段階のモデリングに多変量解析は万能に近い手法だ。当方は50年近く前から研究開発企画で多変量解析を用いてきた。そして、このようなモデリング目的では統計手法としてこだわる必要のないことに気が付いた。このような気づきはアイデアを出すために大切である。

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