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2024.05/05 科学と技術と芸術と(3)

科学は、論理学とともに誕生した、と定義づけられているので、その起源を議論するのは易しい。そのうえで、科学の一分野とされるマテリアルズインフォマティクスとは何か、と問われた時に第三次AIブームで生まれた言葉に過ぎない、と当方は答えたい。


数理モデルで現象や物質を捉えることは、非科学的方法でニュートンでもやっていたのである。コンピューターで物質を扱う、という点では1970年代の第一次AIブームで行われていた。


それでは、コンピューターではなくAIで、としたらどうか、という議論について、AIというものをどのように定義づけるかにより議論は複雑に変化する。


AIの概念をコンピューターまで広げれば、第一次AIブームの時代からマテリアルズインフォマティクスは行われてきたことになる。実際にセラミックスフィーバーの時代には、JANAFのデータベースで物質を設計することが行われている。


また、無機材料のデータベース構築もこのころから本格的に始まっている。ゆえにマテリアルズインフォマティクスを新しい潮流のように騒ぐのは言葉で遊んでいるようなものだと思う。


マテリアルズインフォマティクスで注目すべきことは、数学が不得意の化学者が数理モデルを積極的に使い始めたことだろう。化学者と数理モデルとの関係では、つい最近ダッシュポットとバネのモデルによるレオロジーを使い物にならないと否定した不幸な歴史がある。

カテゴリー : 一般

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