2024.08/20 未来を拓く
もし、生成系AIの登場が原島先生が言われるような産業革命の総仕上げならば、次の段階を拓くイノベーションが同時に始まるはずである。
産業革命から今日まで、科学の時代と言われ、20世紀は科学の世紀とまで言われたが、アメリカでは1970年代にトランスサイエンスという言葉が生まれている。
そして、科学が推進した産業革命は、多くのトランスサイエンスの問題を生み出し、現在に至る。産業革命は論理学が誕生する直前、非科学の時代に始まった。恐らく、産業革命の総仕上げが行われた後の未来は、産業革命で生み出されたトランスサイエンスの問題を解決してゆく時代になるのではないか。
トランスサイエンスとは、科学で問うことはできても、科学で解決できない問題を意味すると言われている。この言葉が生まれてからセレンディピティーという言葉が流行り、日本にはこの言葉だけが輸入されている。
科学の方法で解決できない問題でも、人類は解決しなければ次の時代を生きてゆけない。科学の方法でできなければ、非科学の方法を使うことが必要になってくる。
このように考えると、次の時代は、科学と非科学が同等に扱われるサイエンスフュージョンの時代になるのではないか。すでにその兆候はあり、当方がゴム会社で発明した高純度SiCの合成法は、非科学的に開発された技術であるが、30年ゴム会社で事業として行われ、現在(株)MARUWAに事業継承されている。
また、ノーベル賞を受賞したiPS細胞の発明は、あみだくじ方式で開発され、その生成物であるiPS細胞の証明に科学的方法が用いられ、受賞に至っている。
当方の発明した方法は、当方の手により、反応速度論の解析が行われ、均一反応で進行することが確認され、当方一人の名前で日本化学会で発表された。
その後この講演を聞いた助教授から、学位を出すからデータを見せてくれと言われ、見せたところ勝手に彼は自分をファーストネームとして論文発表している。その後、彼は国際会議などでも当方に許可なく自分の研究として発表している。
この発明は、学会賞など数々の受賞をするのだが、一番苦しい事業の立ち上げまで行った当方や、それを引き継いだ部長、JVのパートナーなど存在しないものとして最初の推薦書が学会に提出されている。それでも許される科学の時代だった。
アカデミアの研究者や企業の研究者がこのような行為をしたことにショックを受けたが、それでもあきらめず、カオス混合はじめ非科学の発明を多数行ってきた。
人類の英知などと言われるが、その中には他人の成果を奪い自分の成果とする不純な英知も存在した科学の時代であるが、多数の人の英知を学習したAIの登場で、他人の成果も自分の成果も味噌糞一緒の未来となった。未来は、その成果が誰のもか分からないAIの英知で発展するのか?
ドラッカーは、知識労働者の成果は、他の人に自分の成果を渡すことにより生まれる、と述べている。素晴らしい成果ならば、渡さなくても他人が奪っていってしまった科学の時代であったが、誰の成果と気にすることなく、権利関係が浄化されたAIは、これから活発に使われるだろう。
AIを使う時には、先人の知に敬意を払って使うようにしたい。
カテゴリー : 一般
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